2016年を振り返りながら聴くのにピッタリの洋楽ナンバー

2016.12.14英会話
洋楽ナンバー

――早いもので2016年も残りわずか。みなさんにとって、2016年はどんな一年になったでしょうか。楽しかったこと、嬉しかったこと、そして悲しかったこと。色んなことがあったと思います。そこで今回は、洋楽ライターの小熊俊哉さんが「2016年を振り返りながら聴くのにピッタリの洋楽ナンバー」をご紹介。世間的には騒々しかった今年を振り返りながら、ぜひ思いを馳せて聴いてみてください。

 

 

突然ですが、この時期になると聴きたくなるのが、サイモン&ガーファンクルの「A Hazy Shade Of Winter」(邦題:冬の散歩道)です。

夢や可能性を追いかけているうちに、気付けば冬の足音が近付いている。失った時間はもう取り戻せない――青春の終わり、あるいは年末に抱きがちな苦悩をテーマにした1966年の名曲です。“Looking over manuscripts Of unpublished rhyme / Drinking my vodka and lime”(書き貯めた未発表の詩を眺めながら/ウォッカやライムを口にする)というフレーズも、刺さる人には刺さるはず。ああ、耳が痛い……(笑)。

 

この曲の中で、素敵なのが“Seasons change with the scenery / Weaving time in a tapestry”(季節は景色とともに移ろい変わっていく/時間のつづれ織りを紡ぐように)という、韻の踏み方も見事な一節。希望さえ見失わなければ、灰色の冬空もやがて人生の春に変わっていく。そんな前向きなメッセージも、この曲では歌われています。

 

冬のあとには春が訪れるし、2017年は必ずやって来る。そして、やまない雨がないのと同じように、人生は何度でもやり直せるのです。だからこそ、この一年をしっかりと振り返っておきたいというもの。そこで今回は、2016年を振り返るのにうってつけの洋楽ナンバーを、時事ネタや流行語も交えながらご紹介します。きっと英語の勉強にも役立つはず!

2016年を振り返る洋楽ナンバー8選

1.Formation / Beyonce

熊本地震やパリの同時多発テロといった悲しいニュースや、アメリカ大統領選など社会を揺るがすトピックスが相次いだ2016年。そのスタートを鮮やかに飾ったのが、ビヨンセの“Formation”でした。人種差別を糾弾し、黒人と女性の誇りをテーマに扱ったこの曲は、今年2月にアメリカの国民的イベント、スーパーボウルのハーフタイムショウで披露されると(歌詞が過激なこともあって)物議を醸すことに。しかし、難しい現実と向き合い、批判にさらされながら、それでも力強く突き進むビヨンセの姿勢は、国境を越えて多くの人々に勇気を与えたはず。この曲が収録された彼女のアルバム『Lemonade』は、各所で「今年最高の作品」と絶賛されています。今の時代を知るうえでも必聴の一枚でしょう。

 

2.Never Be Like You feat. Kai / Flume

春は出会いの季節ともいいますが、「センテンススプリング」が流行語にもなったように、別れと旅立ちを迎えるシーズンでもあります。そんな複雑な恋心を歌ったのが、オーストラリアのトラックメイカー、フルームによる大ヒット曲「Never Be Like You」。“I’m a fucking fool / I’m begging darling please / Absolve me of my sins, will you?”(私って本当に大馬鹿だけど、あなたと一緒にいたいの/私の罪をどうか赦して?)と、張り裂けそうな気持ちを訴えながら、“Cause I got it / Never be like you”(わかっていたの、あなたみたいにはなれない)と諦めるように歌うくだりは、「私以外私じゃないの」に対するアンサーのよう。2016年の悲しみを癒してくれるナンバーです。

 

3.Rise / Katy Perry

2016年の夏を語るうえで外せないのは、なんといってもリオ五輪。日本人選手も12個の金メダルを獲得する大活躍で、テレビ中継のために眠れない日々を過ごした方も多いのでは。かくいう私も、すっかりレスリング・土性沙羅選手のファンになりました。ケイティ・ペリーの「Rise」は、アメリカでオリンピックのテーマソングとして使用された一曲。“Victory is in your veins”(あなたには勝利が刻まれている)、「Just fight it, / Don’t be surprised, I will still rise」(ただ戦えばいい/驚かないでね、私は何度でも立ち上がるから)という歌詞が、地道に頑張ってきた日々の努力を思い出させてくれるでしょう。

 

4.Dark Necessities / Red Hot Chili Peppers

そして夏といえば、パーティーやキャンプ、花火大会など野外イベントが目白押し。私も音楽フェスを満喫してきました。そんなアウトドア派の振り返りBGMにお薦めしたいのは、フジロックでヘッドライナーを務めたレッド・ホット・チリ・ペッパーズ。“Dark necessities are part of my design”(俺の身体には闇が必要なんだ)と歌う「Dark Necessities」は、ほんのり内省的なムードを漂わせながら、世界的ロック・バンドによるファンキーなノリが強調されています。

 

5.Daydreaming / Radiohead

一方で、アウトドアやフェスが苦手なインドア派に捧げたいのが、レディオヘッドの「Daydreaming」。2016年はAR(拡張現実)やVR(仮想現実)といったテクノロジーの発展も大きな話題となりましたが、この曲のミュージック・ビデオは「白昼夢」を意味する曲名どおり、何度ドアを開けても出口に辿り着けず、ファンタジーの中でさまよう光景が描かれています。最後は雪山に辿り着き、洞穴のなかで眠るシーンでビデオは終わるのですが、これは幸せや安らぎを意味するのでしょうか?自分の人生と照らし合わせながら、穏やかなメロディーに耳を傾けてみてください。

 

6.Like A Rolling Stone / The Rolling Stones

読書の秋といえば、今年10月にはボブ・ディランがノーベル文学賞に選ばれたのも大きな話題となりました。「作家ではなくロック歌手がなぜ?」という声もあったそうですが、彼がそれだけ新しい詩的表現を生み出してきたことも事実。「ボブ・ディラン 名言」で検索すれば、鋭いフレーズが山のように出てくるので、英語の勉強も兼ねてチェックしてみてください。さらに、ディランは「フォークの神様」とよく言われていますが、ときに乱射するように言葉を放つ歌唱スタイルに対して「ラップの元祖」だという意見もあります。1965年に発表された「Like A Rolling Stone」は、ロックを単なる娯楽から反体制的な芸術へと昇華させた革新的なナンバー。改めて聴くとヒップホップの方法論まで先取りしていたかのようです。残念ながら「Like A Rolling Stone」のオフィシャル試聴動画はYouTubeにありませんでした。後年になってローリング・ストーンズが(バンド名とも重なる)この曲をカヴァーしているので、今回はこちらをご紹介しておきます。

 

7.Happy Holiday / She & Him

冬といえばクリスマスということで、映画「(500)日のサマー」やドラマ「New Girl / ダサかわ女子と三銃士」でお馴染みの女優・ズーイー・デシャネルとM・ウォードによる男女デュオ、シー&ヒムのクリスマス・ソング集『Christmas Party』をご紹介しましょう。こちらは往年のオールディーズからマライア・キャリーまで、ホリデー・シーズンの定番カヴァーを収めた一枚で、パーティーのBGMやプレゼントにも最適だと思います。ズーイーの深みのある声は、本当に冬がよく似合いますね。

 

8.33“GOD”- Official Japanese Lyric Video / Bon Iver

一方で、クリスマスはイエス・キリストの降誕祭です。そして、2016年の流行語で真っ先に浮かぶのは、広島カープ・鈴木誠也選手の大活躍から生まれた「神ってる」でしょう。2016年の洋楽で「神ってる」といえばボン・イヴェール。最新作『22, A Million』には、33“GOD”という曲が収録されています。ビデオには英語&日本語の字幕も付いているので、この厳かで混沌とした、しかし祈りと慈愛も感じさせる表現を体感してみてください(一人で過ごす冬のBGMにもピッタリ?)。ちなみに、この『22, A Million』は全米アルバム・チャートで2位に輝いています。

何年後に振り返っても2016年の記憶は輝き続ける!

いかがだったでしょうか?最近は「Shazam」のような新しい音楽を発見するアプリも普及してきましたし、街に出掛けてCDやレコードを買いに行くのも楽しいものです。自分の見つけた音楽を友人やパートナーとシェアしながら、みんなで賑やかに2016年を振り返るのも有意義だと思います。

 

最後にもう1曲、ザ・チェインスモーカーズによる2016年を代表するヒット曲「Closer」をご紹介しましょう。

別れた恋人と再会したあと、2人がなぜ別れたのかを改めて思い出すという切ないナンバーですが、何度も繰り返されるこの一節が印象的です。“We ain’t ever getting older”(僕らは2度と歳を取らない)――お互いの関係は取り戻せなくても、2人が過ごした思い出は永遠に生き続ける、そんなふうに解釈できるでしょうか。それと同じように、何年後に振り返っても2016年の記憶は輝き続けるはずです。それでは、よいお年をお迎えください。

 

筆者:小熊俊哉/洋楽ライター
1986年生まれのライター、編集者。紙/web問わず執筆、CDライナーノーツも多数。「Jazz The New Chapter」「Quiet Corner」「ポストロック・ディスク・ガイド」などの音楽書を企画・編集。

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