洋画に学ぼう!映画批評家が紹介する粋な英会話フレーズ

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映画、特にハリウッド映画の脚本は、何人ものプロが数えきれないほどの推敲をへて書き上げるもの。だからこそ、しゃれた言い回しや、心に残るセリフがたくさんあります。

 

そこで今回は、新旧4つの作品からそうした印象的なワンシーンを引用しつつ、粋な英会話フレーズをご紹介します。

 

【執筆者Profile】
前田有一/映画批評家
著書「それが映画をダメにする」(玄光社)、8000万ヒットWEB「超映画批評」はじめ「日刊ゲンダイ」「週刊アサヒ芸能」など各メディアで「批評エンタテイメント」を展開中。

『オデッセイ』に登場。隠し切れない喜びが伝わるブラックジョーク

まずは、大ヒットしたハードSF『オデッセイ』(15年、米)から。主人公は、嵐に巻き込まれて行方不明となった火星探査チームのひとりマーク・ワトニー(マット・デイモン)。ところが実は彼は生きていて、諦めた仲間たちが地球へ帰還した後も、たった一人で何百日とサバイバルすることになるのです。

 

マークは幸いにも植物学者であり、驚きの工夫で土や肥料を手に入れ、居住ユニット「ハブ」の中で自らジャガイモを栽培して食いつなぎます。

 

そして、何か月間も過酷な環境で頑張り続けた結果、これまた予想もつかない方法でついに地球のNASAと通信することに成功するのです。死んだと思っていた宇宙飛行士がたった一人、火星で生きていたのですから地球の人々は大騒ぎ。

 

これはそのやりとりの直後、マークがビデオ日誌の形で、カメラに語りかけるように話すシーンです。

 

So now that NASA can talk to me, they won’t shut up.
(交信できたとたん、NASAがやたらうるさい)

 

They want constant updates on every Hab system…
(ハブのシステムを常にアップロードしろとか……)

 

and they got a room full of people trying to micromanage my crops.
(大勢で僕の作物について細かく管理しようとする)

 

Look, I don’t mean to sound arrogant or anything…
(まいっちゃうよな、エラそうな言い方したくないけど、僕は……)

 

but I am the greatest botanist on this planet, so…
(この星で一番の植物学者だぞ。そうだろ?)

 

もちろん、火星には彼一人しかいないのだから一番なのは当然なのですが、こんなブラックジョークの中にも、隠し切れない喜びや嬉しい気持ちが込められています。悪態ひとつとっても、言い方とタイミングで真逆の心情を伝えられるのだからおもしろいですよね。

覚悟を決めた夫婦のセリフに感動!『ポセイドン・アドベンチャー』

どんなときもマーク・ワトニーのようにユーモアを忘れずにいたいものですが、同じように、逆境でも決して諦めない人たちの気高き精神を描いた映画は他にもあります。洋上でひっくり返った豪華客船からの脱出行を描くパニック映画『ポセイドン・アドベンチャー』(72年、米)の、劇中最大の感動シーンから引用します。

 

水没した廊下の先にある機関室に皆を連れていくため、ロープを持って飛び込んだリーダー。しかし彼は途中でガレキに挟まれ、身動き取れなくなってしまいます。サブリーダー格のマイク・ロゴ刑事はじめ、残された人々がパニックに陥る中、それまで皆から足手まといと思われてきた老婦人のベルと夫のマニーが何かを悟ったように互いを見つめます。

 

Bell, be careful.
(ベル……気を付けて)

 

Manny, you think I’m planning to be careless?
(マニー、あたしのすること、無茶かしらね)

 

穏やかにそうつぶやくが早いか、彼女は一寸の迷いもなく濁った水の中へと飛び込むのです。

 

What does she think she’s doing?
(何バカなことやってるんだよ!!)

 

マイク・ロゴ刑事がそう叫ぶと、マニーは毅然とこう言いかえします。

 

Let her go. She knows what she’s doing.
(いいんです!彼女はわかってやっているんです!)

 

ベルは見た目とは裏腹に、かつて若いころは潜水の選手だったのでした。しかし数分間もの潜水救助はほとんど自殺行為。それでも彼女と夫は、今こそ自分たちがなすべきことをする、そのときが来たのだと即座に決断しました。夫婦の信頼を感じさせる、映画史に残る名場面、名セリフです。

『カーズ』で痛快!励ましたり慰めたりするときに使えるフレーズ

次は、ちょっと雰囲気を変えて、ピクサーアニメーションの傑作『カーズ』(06年、米)をご紹介。

 

レースカーのマックイーンは、地図にも載ってない忘れられた街ラジエータースプリングスで心優しい仲間たちと出会い、傲慢だった自分を悔い改めます。そんな彼が、戦う真の意味を見つけて挑んだ最後のレースにおける、ピットでの一場面です。

 

ここに出てくるマックイーンの仲間のグイドは、しょぼくれたフォークリフトのくせに、たった一人でタイヤ交換をしようというので、隣のライバルチームからバカにされてしまいます。

 

Hey, shrimpie, where did McQueen find you, huh?
(よお、子エビ!どこでマックイーンに拾われた?)

 

Those round things are called tires, and they go under the car!
(その丸いのはタイヤっていって、車の下につけるんだゾ!)

 

なかなかの煽りっぷりで、グイドは思わずつっかかろうとしますが、親友のルイジに止められます。

 

No! No no! You’ll have your chance. You will have your chance.
(ダメ、ダメダメダメ。思い知らせるチャンスはあとでちゃんと来るから)

 

実際にこの後、見事に「思い知らせる」痛快な場面が登場しますが、このシンプルな定番フレーズ、誰かを励ましたり慰めたりするときなんかに使いやすいですね。

『ザ・ウォーク』の師弟愛。シンプルな単語でも気持ちは伝わる

最後は在りし日のワールドトレードセンタービルの屋上間を綱渡りしたフィリップ・プティの実話ドラマ『ザ・ウォーク』(15年、米)から。

 

いよいよビル渡りをする直前、かつての師匠の下を訪れたフィリップは「命綱をつけろ」と言われ激しく対立します。命綱なしではやらせないという師匠へ「もしあなただったら、きっとつけないでしょう?」と言い返し、黙らせてしまいます。

 

You said, “You cannot lie on stage. The audience will always know what is inside your heart. ” I think I understand now.
(「舞台では嘘をつくな」って言ったよね。「観客は心の中を見透かす」って。今なら意味が分かる)

 

そんな弟子の覚悟に圧倒された師匠が、それでも必死に、絞り出すように言ったセリフです。

 

You know, Philippe, what you’re doing, I may not understand it.
(いいか、フィリップ。お前がやることは、私には理解できない)

 

But it’s…
(だがな)

 

It’s…
(あれは)

 

…something. Something beautiful.
(すごいことだ。すごく美しい)

 

命がけの挑戦をしようという男に対して、もはや言葉などいらない、思いつかないという老いた師匠の表情が泣けます。こんなにシンプルな単語だけでも、十二分に伝わる気持ちもあるのです。でも人生の大舞台を前に、こんな言葉をかけてくれる人がいるって幸せなことですよね。もしそんな場面に遭遇したら、こんな風に本質を突く言葉をかけてあげたいものです。

洋画を“英会話”から楽しんでみよう!

いかがでしたか?

 

映画の中には、すぐに応用が利く言い回しや、いつまでも心に残るステキなセリフがたくさんあります。これからはちょっとだけそんなことを意識して、洋画を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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