遠く離れた家族が集まって絆を深め合うアメリカの伝統

サンクスギビングは、その昔、イギリスからアメリカ大陸に渡った清教徒たちが厳しい生活を強いられていたところ、先住民のインディアンから食物や物資を得たり、狩猟やトウモロコシの栽培を教えてもらったりしたことで生き延びられたため、先住民に感謝して祝宴を催したことが始まり、といわれています（諸説あります）。

現在では、遠く離れた家族や親戚が集まって絆を深め合い、収穫の秋を祝ってごちそうをいただくアメリカの伝統として根付いているのです。

サンクスギビングのメインディッシュは七面鳥の丸焼き！

北米では大切な家族行事のひとつと位置づけられているサンクスギビングの食卓には、どのようなごちそうが並ぶのでしょうか。

伝統的なメインディッシュは、小さく切ったパンなどを詰めもの（「スタッフィング（stuffing）」または「ドレッシング（dressing）」と呼ばれる）にした大きな七面鳥の丸焼きです。そのため、感謝祭の日は「七面鳥の日」（Turkey Day）ともいわれています。切り分けた七面鳥にグレービーソース（gravy sauce）とクランベリーソース（cranberry sauce）を添えていただきます。

私も高校生のとき、初めてアメリカの家庭で正式なサンクスギビングのディナーに参加しましたが、クランベリーソースがゼリー状で、日本人の感覚からすると不思議な取り合わせであることに驚いたものです。

副菜には、マッシュポテト＆グレービーソース、オレンジ色のサツマイモの料理（Candied Yam）、サヤインゲンを煮たものなどが用意されます。デザートには、アイスクリームを添えたアップルパイやパンプキンパイが人気。

また、最近ではベジタリアンも多いため、七面鳥を模して豆腐や麩で作ったターキー「トーファーキー（Tofurkey）」なども市販されています。なお、自家製のトーファーキーは、ヴェジー・ターキー（veggie turkey／精進七面鳥）やモック・ターキー（mock turkey／疑似七面鳥）とも呼ばれます。アメリカにいるヴィーガンの友人たちはよく作っているようですよ。

サンクスギビングを機にホリデーシーズンのギフト探しが本格化

サンクスギビングの食事は、家庭によって、昼食であったり、夕食であったりとさまざまです。サンクスギビング休暇で冬の始まりを家族とともに過ごした後、1か月後のクリスマスに再会することを約束して集いの時間を終えます。

サンクスギビングの翌日に行われる大セールの日は、ブラック・フライデー（Black Friday）と呼ばれています。ホリデーシーズン（Christmas）のギフト探しなどが本格化するタイミングのため、もともとは金曜日の午前に商戦がスタートしていましたが、最近ではどんどん前倒しになり、サンクスギビングの当日にセールを開始するところも増えているとか。そして近年では、サンクスギビング明けの月曜日はサイバー・マンデー（Cyber Monday）と呼ばれ、オンライン・ショッピングの大セールが盛り上がっているようです。

両親ともに亡くなった今は、晩秋から冬にかけての楽しい行事の続く季節を懐かしく思い出すとともに、息子たちにも我が家の季節の行事をできるだけ分かち合いたいという気持ちが年々強くなりました。今年のサンクスギビングも、時間をかけて大きな七面鳥の丸焼きを作りたいと思います。

筆者：岡本きよみ／PRディレクター
株式会社Harris PR & Consulting Office代表取締役。PRディレクターとして主にライフスタイルブランドの広報活動に関わる。米国の高校を卒業後、日本の大学に進学。専攻は英米語、言語学。JTB、日航のアウトバウンド・インバウンド業務に従事した後、出産を機に、P&Gファーイーストインク（当時）に転職。広報渉外部および研究開発部に10年間勤務の後、家族とともにニュージーランドに滞在。帰国後、外資系ホテルの広報、外資系PR会社のヴァイスプレジデントなどを経て、現職。