日本文学を英語で!初心者におすすめしたい村上春樹作品の英訳本

2017.06.16英会話

好きな日本作家の小説を英語で読んでみるのはいかがでしょうか?

 

日本の小説でも、気軽に読める大衆小説から難解な古典文学作品まであるように、英語の小説もさまざまで、特に文学作品は難しい傾向にあります。初めて英語の本を読むなら「児童書」をおすすめしていますが、子ども向けに書かれたものなので、何冊か読むと物足りなくなってくることも。そこで「日本の小説」です。

 

日本の小説なら、日本語で読んだことがあれば、あらすじを知っていて読み進めやすいですし、わからない英単語が出てきても推測できます。文化的な背景や生活様式、例えば、コンビニで買い物をしたり、満員電車で通勤したり、お正月にお休みを取ったりするシーンがあっても、情景が思い浮かぶために違和感なく理解できて、ストーリーに集中することができるでしょう。「普段の生活を英語で表現すると、こんな表現になるのか」という驚きもあって、それも英語で読む醍醐味のひとつです。

 

また、英語版では、表紙のデザインやタイトルもオリジナルと異なります。伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』は『Remote Control』、宮部みゆきの『R.P.G』は『Shadow Family』、東野圭吾の『秘密』は『Naoko』など。表紙に着目してみるのもおもしろいでしょう。

 

英訳されている日本文学というと、私が最初に思い浮かべるのは村上春樹です。今回は、村上春樹の小説を中心に、英語で読む日本文学をご紹介します。

 

【執筆者Profile】
八津谷郁子/洋書屋オーナー
大阪府豊中市在住。洋書絵本の販売や、洋書絵本棚づくりの提案を中心に活動中。ブッククラブ、洋書と絵本を楽しむ会、読み聞かせなどのイベントも多数主催している。

1.Kafka on the Shore / 海辺のカフカ

田村カフカ少年は、15歳の誕生日に家を出て長距離バスに乗り、知らない町の小さな図書館で暮らすことになります。並行して、子どものときに不思議な事件に遭遇したために通常の知能を失い、その代わりに猫と話ができるようになった老人ナカタさんの物語が進行します。まったく関係しそうにない2人ですが、後半で2つの物語が交錯。海外でも評価の高い作品です。

 

友人からAudio Bookを借りて夢中になり、それ以来、毎日Audio Bookを聞くきっかけになった本です。驚いたのは、フクロウが鳴くシーン。owlは「オウル」でなく「アウル」に近い発音だったんですね。Audioで聞くのもおすすめです。

2.1Q84

SF、カルト、ドメスティックバイオレンス、NHKの集金人、出版業界。その他、実にさまざまな要素が盛り込まれ、あらすじを書くのが困難なお話です。エンターテイメント性も高く、英語でも一挙に読むことができるでしょう。

 

メインに流れるのは交互に語られる青豆と天吾の恋物語。法律で罰することができない悪人を完全殺人で制裁してしまうところからストーリーが始まります。村上春樹に『ノルウェーの森』のイメージしか持っていないのであれば、読むと印象が変わるかもしれません。

3.The Elephant Vanishes / 象の消滅

村上作品は、短編も海外の評価が高く、短編発表の権威である雑誌『ニューヨーカー』にも多く掲載されています。“The Elephant Vanishes ”は、先にアメリカで出版されたロングセラーの短編集が同じ構成で日本に逆輸入されました。

 

最初の“The wind-up bird and Tuesday’s women ”は、後に『ねじまき鳥クロニクル』の冒頭部分に改稿されています。

 

“The wind-up bird and Tuesday’s women ”で行方不明になる猫と、最後の“The Elephant Vanishes ”の飼育係の名前が同じなのも遊び心があって素敵。ちなみに“The Elephant Vanishes ”では、大きな年老いた象が文字通り忽然と消えてしまいます。どれも不思議な17編の物語です。

 

英語の本に慣れていない場合は、短編集から始めるのも良いかもしれません。日本語と読み比べることもできますし、中身が濃いので、ゆっくりと味わって読むことができるでしょう。

日本文学を英語で読めば不思議な感覚に。海外文化への理解も深まる

村上春樹の他には、吉本ばななの『アルゼンチンババア』がおすすめ。とても綺麗な本で、奈良美智の挿絵がちりばめられ、持っているだけで嬉しくなります。ページの見開き右に縦書きの日本語、左に横書きの英語で同じ内容が書かれていますので、初心者にもぴったりです。

 

このように、いろいろな作家の小説が英訳されていますので、自分の好きな作家の本をAmazonなどで検索してみてはいかがでしょうか?

 

なお、英語で読むと、同じ内容の本であるのにもかかわらず、登場人物の雰囲気などが違って感じられ、別の本のようにおもしろく読めることがあります。例えば、『1Q84』はその典型で、30歳の青豆と70歳を超える老婦人の会話が、まるで友だちの会話のように感じられて不思議でした。

 

日本文学を英語で読めば「実際は違うニュアンスを含んでいるものなのかもしれない」という新しい発見にもつながります。とても不思議な感覚ですので、みなさんも日本文学を英語で読んで体験してみてください。逆説的ですが、海外の文化に対する理解がより深まることでしょう。

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