世間話が潤滑油!?海外の職場におけるコミュニケーション術

Summary あらすじ

日本の職場では好ましくないとされる傾向にある世間話ですが、海外の職場では大切なコミュニケーションとされていることが一般的。たとえ毎日会っている相手に対してでも、内容が簡潔で形式的なものだとしても、ポジティブな声かけを積み重ねることで職場の人間関係はスムーズになっていきます。

「日本のレジの人って世間話をしないのね!」

 

これは日本に住むスペイン人の友だちの言葉です。私が「日本人は仕事熱心だからね」と答えると、彼女からは「そんなのつまらないわ。スペインでは世間話も大切なカスタマーサービスよ!」との返事が。そのとき、私は初めて気がつきました。彼らにとっての仕事中の世間話は決してサボっているのではなく、むしろ気遣いの表れなのだということを。

 

今回は、海外の職場で人間関係を円滑にするためのコミュニケーションについて考えてみましょう。

さまざまな国の人が一緒に働く海外の職場では世間話も重要!

 

日本の職場では業務中の世間話は好ましくないものとされる傾向にあります。けれど、海外ではそうとは限りません。

 

アメリカやイギリスなどの多民族国家では、互いの文化を尊重することは大いなる美徳と捉えられています。「言われなくとも、相手の気持ちを察するのが気遣い」という日本的な考え方は基本的に存在しません。私自身、海外で「ここまで説明しないといけないの?」と思ったことは数知れず。互いを理解し尊重しようと思えば、コミュニケーション以外に方法がないのです。

 

そのような背景もあり、特にさまざまな国の人が一緒に働く海外の職場では、ビジネスの話だけではなく世間話も私たちが考える以上に重要なもの。「いきなりビジネスの話に入ったら『この人は何を急いでいるんだ?』って思われるのよ。私も雑談しながら、日本にいるときの100倍くらい『私は気さくな良い人間です』って日々アピールしているわ(笑)」とアメリカで働く日本人の知人は話してくれました。

 

例えば、毎日会っている同僚に対しても「キョウコ、おはよう、元気? (Morning, how are you doing, Kyoko?)」と名前を入れて声をかけ、挨拶された人は「元気よ、あなたは? (Good, and you?)」と必ず返す。また、エレベーターで一緒になったら、顔見知りではない同僚にも天気などの話を振る。何気ないことですが、これらの世間話は職場の人間関係における大切な潤滑油なのです。

海外の職場でよく聞かれるポジティブな声かけ

 

では、海外の職場でよく聞かれる声かけについて具体例を見てみましょう。簡潔かつ形式的なものが多く、ポジティブな内容が基本です。

 

【職場の仲間を励ます】

 

海外の職場では日本と違って各自の仕事範囲が明確に定められていますが、別の仕事をしつつも日常的に互いに軽い励ましを送り合います。

 

Good luck.

(頑張ってね)

Keep up the good work.

([上司から]その調子だよ)

Are you nervous? Take it easy!

(緊張しているの?気楽に構えて!)

You can do it!

(あなたなら、できるわ!)

 

【週末について話す】

 

1週間のうち、月曜日の朝は「週末どうだった?」と聞き、水曜日頃から「週末何するの?」、金曜日の仕事の区切りの際は「やっと1週間の仕事が終わるね!」と声をかけ合います。

 

How was your weekend?

(週末どうだった?)

 

この言葉に対しては「Couldn’t be better. (最高だった)」「Pretty good. (良かったよ)」「Nothing special, but a relaxed weekend. (何もしなかったけれど、ゆっくりできたよ)」などと答えます。このときも「What about yours? (あなたは?)」と聞き返すことを忘れずに。

 

Any plans for this weekend?

(今週末は、何をするの?)

OK, that’s it for today. Thank God it’s Friday!

(今日はここまで、やっと金曜日だね!)

 

【服装や髪型を褒める】

 

私がスペインに滞在していたときに感じたことですが、特に女子同士は頻繁に褒め合います。ラテン系の国は男性が褒めてくれると思っていたので、これは少し意外でした。褒める内容は持ち物や髪型、化粧など多岐にわたります。

 

Look at you! You look wonderful with your suits today.

(ちょっと、あなたの今日のスーツ、ステキじゃない!)

I love your bag. Where did you get it?

(あなたのバッグ、とても好きだわ。どこで買ったの?)

Did you have a haircut? It looks nice!

(ヘアカットした?とても似合っている!)

 

※番外編【くしゃみ】

 

欧米では、くしゃみをすると肉体から魂が抜けるという迷信がありました。そのため、くしゃみをした人には「神のご加護がありますように」と声をかけ、言われた方はお礼を返す習慣があります。

 

Achoo!

(ハックシュン!)

Bless you.

(お大事に)

Thank you.

(ありがとう)

 

形式的なコミュニケーションも繰り返すことに意味がある

 

前出のアメリカで働く日本人の知人はこうも語ってくれました。

 

「アメリカ人の発言はいつもポジティブ。『You will be OK. (あなたは大丈夫)』って何度言われたことか。『私の何をわかって言っているんだろう?』って最初は思ったけれど、やはり何度も言葉にしてもらうことで、こちらの心がけも変わってくるんだと気がついたわ」

 

確かに海外の職場で交わされるコミュニケーションは「形式的」かもしれません。しかし、繰り返し声をかけ合うという行為そのものに大きな意味があるのです。欧米などの海外では個人を尊重する風土がありますが、組織で働く限りチームワークが重視されることは万国共通。最初は気恥ずかしいかもしれませんが、徐々に慣れていってポジティブな声かけを習慣的に行えるようになると人間関係はスムーズになるでしょう。

 

筆者:洲巻三恵子/ライター

大手家電メーカーにて秘書業務を5年間経験した後、スペインで1年間のインターンシッププログラムに参加。帰国後、リクルートが発行する情報誌の編集業務に4年間、ベンチャー企業の立ち上げに1年間携わり、家族の仕事の都合でドイツへ移住。5年半の滞在中、2回の海外出産を経験し、現在は4児の母。趣味は旅行で、南米やアフリカも含め、訪れた国は約30か国に上る。

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