家族で海外赴任!海外の子育て事情を先輩ママに聞いてみた。

2017.11.30旅行・留学
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Summary あらすじ

オーストラリアのシドニーに15年間在住した林カオリさんは、現地で働きながら2人の娘さんを出産し、育児を経験。言葉や文化の壁に苦労しつつも、親子ともに“一生の財産”となったそうです。海外の子育て事情についてインタビューしました。

日本企業の海外進出が珍しいことではなくなった今、「夫の海外赴任が決まって家族で海外に移住することになった!」なんてことも起こり得るかもしれません。

 

そうなると、言葉はもちろん、文化や風習、教育制度も異なる海外での生活や子育てに不安は尽きないことでしょう。

 

今回は、オーストラリアで15年にわたって生活し、出産・育児を経験したライター兼エディターの林カオリさんにリアルな体験談をお聞きました。

 

 

【Profile】

林カオリさん

関西を拠点に活躍するライター兼エディター。大学卒業後、雑誌の制作会社に勤め、結婚を機に夫婦で渡豪。シドニーで邦字新聞『日豪プレス』の記者、NPO法人留学協会の認定アドバイザーなどに従事しながら、二人の娘の海外出産・育児を経験する。オーストラリアで15年間過ごした後に帰国。クリエイティブオフィスCoujin代表、知的財産管理技能士。

英語は時に子どもを守る武器になる。海外移住前には実用的なサバイバル英語の勉強を

英語は時に子どもを守る武器になる。海外移住前には実用的なサバイバル英語の勉強を

―― まずはオーストラリアに住むことになった経緯を教えてください。

 

最初は、1か月ぐらいの旅行のつもりだったんです。学生ビザでオーストラリアのシドニーへ夫婦で渡りました。現地では前職の編集経験を生かし、ビジネスビザも取って邦字新聞で働いていたのですが、エディターという専門職だったおかげで永住権も得ることができまして。2人の娘を出産し、結局15年間も滞在しました(笑)

 

―― 自分のスキルを生かし、異国で働く姿がかっこいいですね。英語は得意だったのですか?

 

全く得意ではありませんでしたね。大学受験で覚えた英語を使って英文が読める程度で。とはいえ、仕事のインタビューは英語を使わなければいけませんし、日常生活を送るためには英語は必須ですので、数か月、英会話学校へ通いました。

 

―― 海外赴任が決まった人に、英語の勉強について何かアドバイスはありますか?

 

日本にいるときから、できるだけ英語を勉強しておいた方が良いですね。日本語なら主張したり反論したりできるのに、英語が話せず言葉が伝わらないと侮られてしまって、とても悔しい思いもしましたから。それに、子を持つ親にとって英語は武器にもなります。例えば、どうしても親が介入しなくてならないような子どもたち同士の小競り合いが起きたとき、自分の子どもの味方になれるのは親だけですからね。

 

英語は漠然と英会話を学ぶより、家探しや電気や水道などの工事、各種契約、買い物、トラブル対応など、実用的なサバイバル英語を学んでおくと、海外での生活で役立ちます。

 

―― ちなみに、海外旅行とは異なり、住む場所はその後の生活を大きく左右しそうですが、選ぶポイントはありますか?

海外赴任

海外の大都市には、日本人が多く住んでいるエリアが中心地周辺にあります。シドニーなら、ニュートラルベイですね。こういったエリアは家賃が高いものの、治安が良く便利でおしゃれ。日本食の食料雑貨店があるのも魅力です。そんな場所には、日本語を話す医師がいることも多いので、いざというときにも安心でしょう。

 

ただし、こういったエリアは留学生や移住者が多く、街の雰囲気は多国籍です。想像する“オーストラリア人らしい生活”とは、かけ離れているかもしれません。もし、そのような生活を望むなら、地元のオーストラリア人が多く住んでいる郊外や田舎を選ぶと良いですよ。

海外では親は子どもと常に一緒。誰にも分け隔てなく笑顔で接しよう

海外では親は子どもと常に一緒。誰にも分け隔てなく笑顔で接しよう

―― 文化や風習が異なる海外の子育てでは気をつけるべきことが多そうですね。

 

日本とは違い、親は小さな子どもと常に一緒にいなくてはなりません。子どもが昼寝をしている間にちょっと買い物に行ったり、駐車場の車に子ども残したまま自宅に忘れ物を取りに行ったりするのは日本ではありがちな行動ですが、海外では幼児虐待とみなされ通報されてしまうことも。くれぐれもご注意ください。

 

しかし、親子一緒が当たり前の社会だからこそ、良いこともいっぱいあります。例えば、男性が育児に積極的なのもそのひとつ。週末の習い事の付き添いはパパの仕事です。平日でも終業時間後に会社で残業をしているパパのまわりには、子どもたちがいたりしますよ(笑)。ママはその間、女子会へ……ということも多々あります。

 

―― ママ友などとの付き合いについては、どうでしょう?

 

公園へ行くと、知らない子ども同士が仲良く一緒に遊ぶので、ママ同士で会話する機会も多くあります。海外にはいろんな人種がいるので、知らない人でも互いを分かり合って仲良くなろうという意識が強いのかもしれません。

 

そして、親たちが一体となって子どもを見守り指導しようという文化もあります。あるとき、公園で娘が知らない子を叩いてしまったことがあったんです。謝ると、相手の親から「自分の子どもにとっても良い勉強になった。ありがとう」と感謝されました。このような大人の対応は見習いたいと思いましたね。

 

ほか、子どもを連れていると、知らない人からよく話しかけられます。近所の人ですら挨拶を交わさない風潮が広がる日本では、つい他人を無視しがちですが、そんな態度でいると印象が良くありません。海外では、誰にも分け隔てなく笑顔で接することが大切です。

欲しい教育情報は積極的に得る努力を。海外で意識したいのは、孤独にならないこと

欲しい教育情報は積極的に得る努力を。海外で意識したいのは、孤独にならないこと

―― 親たちに見守られて子どもが伸び伸びと育ちそうですね。幼稚園や小学校選びで注意すべきことはありますか?

 

オーストラリアでは、教育熱心な親が増えてきたせいか、人気の幼稚園や小学校は競争率が高い傾向にあります。評判の良い幼稚園に入れようと思ったら、子どもを生んですぐに願書を出すのが常識。なお、幼稚園の費用はとても高く、1日1万円ほど。そのため、我が家もそうでしたが、週に2~3回しか通わない家庭が一般的です。

 

小学校は、日本人学校と現地校のどちらへ行かせるべきか悩むことでしょう。海外赴任などで引っ越してきた場合は、できるだけ子どもに負担をかけないよう最初は日本人学校を選ぶのも悪くありません。シドニーの日本人学校は、日本人クラスとインターナショナルクラスに分かれていて、後者は現地校との中間的な存在です。子どもの様子を見ながら、日本人学校の日本人クラス、インターナショナルクラス、現地校へとステップアップしていくとスムーズに溶け込めるかもしれません。

 

なお、現地校には公立校と私立校がありますが、公立の小学校でも学業に熱心な学校やスポーツに熱心な学校など、それぞれ校風に特徴があります。子どもを進学させたい学校の校区に、住まいを決めても良いですね。しかし、人気学区は定員オーバーになると、オーストラリア人、永住者、ビジネスビザの優先順に入学が決定し、赴任者の子どもはが入学できない場合もあります。

 

―― 幼稚園や小学校の情報は、どうやって手に入れるのでしょう?

 

海外へ渡ったら、欲しい情報は自分から得なくてなりません。日本のように相手の気持ちを察して手を差し伸べてくれるようなことは少ないです。日本で暮らしているとき以上に積極的に動きましょう。現地のマザーズグループへの参加するのもひとつ。特に日本人グループは、同じ日本人というだけで互いに自然と親しみを感じ、人付き合いが苦手な人も馴染みやすいでしょう。

 

海外の暮らしで意識したいのは、孤独にならないこと。マザーズグループ以外にも、ボランティアグループに入っても良いでしょう。そのためにも、英語は必要ですね。せっかくの海外生活、いつまでも“よそ者”として蚊帳の外にいることほど、つまらないことはありません。英語を話すことで友だちができれば、海外生活がより楽しくなりますよ。

 

――そのほかに気をつけることはありますか?

 

海外の小学校へ入学する際は、日本で受けた予防接種をあらかじめ確認しておきましょう。海外の小学校から日本に転入する際も同様です。接種を忘れたり、重複したりすることがないよう、海外へは日本の母子手帳を持っていき、名称を英語で調べておけば万全。

 

海外の子育てについて

なお、オーストラリアで出産すると、シドニーで「blue book」と呼ばれる母子手帳にあたるファイルがもらえます。予防接種の履歴ほか、保健師による成長記録や緊急時の連絡・相談先なども書かれていますよ。

 

海外に住めば、旅行では出会えない“現地の顔”が見える。子どもの“一生の財産”に

海外に住めば、旅行では出会えない“現地の顔”が見える。子どもの“一生の財産”に

オーストラリアの15年間は、カルチャーショックやホームシック、言葉や文化の壁で苦労もしてきたという林さん。けれども、視野が広がり、寛大になったと笑顔で語ります。

 

そして、子どもにとっても“一生の財産”になると断言。海外に住めば、旅行では出会えない“現地の顔”が見えてくるそうです。

 

海外赴任などで、家族で海外に住む機会に恵まれれば、ぜひ移住を前向きに検討してみてください。

 

 

Interviewer&Writer:児島奈美/トラベルライター

旅行雑誌やWEB等で、国内外問わず現地へ足を運び取材・撮影を行う。得意分野は、旅のルポ、グルメ取材、人物インタビューで、渡航した海外はプライベートを含め約40か国。雑誌立ち上げのために約3か月、ベトナムに滞在したほか、プライベートで欧州周遊(約3か月)、米国横断(約1か月)、東南アジア周遊(約3週間)、米国滞在(約1年)の経験も持つ。実践の場で英語を使うことが多く、「英語はツール」をモットーに、わかりやすく使える英語を心掛けている。

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