留学を経て世界でキャリアを開拓してきた経営コンサルタント

2019.05.21旅行・留学
Summary あらすじ

2020年の英語の教育改革や外国人受け入れの入管法改正など、社会のグローバル化が急激に進む日本。あらゆる企業で国際的な人材が必要とされる中、海外の大学への正規留学に再び注目が集まっています。ボストン大学留学を経て海外で活躍する経営コンサルタントのシェリー・ちはる・ラファンさんに、大学留学や海外就職の実際と心構えについて伺いました。

アメリカ、イギリス、オランダ、アルゼンチン、オーストラリア。マーケティングとコンサルティングの専門家として世界の大手企業でキャリアを積んだシェリーさん。国を問わない活躍はボストン大学への正規留学から始まりました。

 

自分の興味や目的に一途に邁進するシェリーさんの大学正規留学と海外でのキャリアアップストーリーにはグローバル社会に生きるヒントがいっぱいです。

 

profile

シェリー・ちはる・ラファンさん(Sherry Chiharu Laffanさん)

シドニー在住の国際派経営コンサルタント。日本の高校を卒業後、ボストン大学経営管理学部にてマーケティングと経営を学ぶ。卒業後は石油メジャーとして知られるロイヤル・ダッチ・シェル社をはじめ、世界最大のコンサルティングファームのアクセンチュア社、オーストラリア最大の総合保険グループQBE、最大手信用照会会社のvedaなど、アメリカ、オランダ、アルゼンチン、ロンドン、オーストラリアなど世界各国の大手企業にて活躍。2008年に経営コンサルタントとして独立。大手企業と提携した世界規模のプロジェクトから熱意ある新鋭企業のコンサルティングまで幅広い仕事を手がけている。

大学留学を心に決めて英語スクールに通い詰めた高校時代

 

海外での活躍の原点となった大学留学ですが、渡米を決心されたのはいつ頃ですか?

 

日本国内の米軍基地で行われる文化交流イベントに参加するなど、小学生の頃から海外の文化や人に興味を持っていました。多国籍の人と触れ合う刺激が楽しくて仕方なかったのです。中学・高校時代には夏休みを利用してイギリスやアメリカに短期留学をしていました。本当は高校から正規留学したかったのですが、残念ながら両親の許可が出なくて(笑)。

 

中学時代の英語の先生の影響も大きかったですね。当時としては革新的な考えを持つ先生で、「英語は言語であって生活のためのものだ。学校の成績のために勉強するものではない」と実際に役立つ英語をたくさん教えてくれました。その先生の教えを受けた生徒たちは私を含め何人か海外に出たと聞いています。

 

大学の正規留学にはかなりの英語力が必要だと思いますが、どのように英語力を身につけられたのでしょう?

 

大学は絶対に海外と決めていたので、高校3年間は土日も含めて毎日英語スクールに通いました。学校が終わるとスクールに直行。一緒に学ぶ仲間は海外の大学に進学したい人ばかりでしたから誰もが真剣で、大学に留学する頃には学習や生活に不便しないレベルの英語力が身についていました。大学の授業に出てくる専門的な単語は新たに学習する必要がありましたが、それはネイティブのアメリカ人の学生でも同じだったんじゃないでしょうか。

 

高校生の頃は3ヶ月に1度のペースでTOEFL®テストを受験し、高1のときに530点だったスコアが大学留学前には603点に伸びました。中学生の頃、夜寝るときに英語を音楽代わりに聞いていたのが良かったのかもしれません。全部で24本あった英語教材を毎晩2030分ほど繰り返して聞いていました。当時は意味がわからず聞き流していた文章も、あとで授業に出てくると「あ!あの時に聞いていた言い方だ!」とすぐピンときて英語の定着が早かったですね。

 

また、高校に入ってからは日本語で読まれたニュースを即座に英語の翻訳文にまとめるレッスンもしましたこれは英語の表現力を鍛えるのに役立ったと思います。取り扱うトピックが時事ニュースで、その当時の生きた言葉だったのも良かったですね。

大学3・4年は実践的なカリキュラム。企業内インターンシップも経験

 

―高校卒業後、すぐに大学の学部課程に正規留学されたのですか?

 

アメリカの大学は9月から始まるので、イエール大学の夏期講習を経てコネチカット州のアルバータス・マグナス大学に入学しました。大学2年からはボストンへ移りボストンカレッジに編入。3年からボストン大学に編入して4年で学部を卒業しました。夏期講習を含めると大学4年で4つの大学に行ったことになりますね。

 

留学前から最終的にはボストンで学ぶことを決めていました。ボストン大学の入学条件のTOEFL®テスト550点はすでに高校生のときにクリアしていたのですが、はじめはアメリカの文化に慣れる意味でも小規模でアットホームな大学で学びたかったので、あえてステップアップ式の留学を選びました。

 

ボストンカレッジからボストン大学へ移ったのは、よりグローバルな環境を求めたからです。アメリカの良家の子女が多く通うボストンカレッジは少し閉鎖的な印象でした。一方、ボストン大学は世界各国からビジネスを学ぶために留学生が集う大学だったため、よりグローバルな視点で学ぶ環境が整っていました。

 

ボストン大学でのカリキュラムはどのようなものでしたか?

 

大学の3・4年はチームでプロジェクトを組み、実際の企業でも通用するようなカリキュラムが多かったです。例えば、学生が独自に商品を開発してカスタマーセグメントに応じたマーケティング戦略を練り、実際の企業にアプローチします。こうした授業を通じて本当に商品化したものも多数ありました。また、ハーバード大学のMBAの教授などがボストン大学で講義したり大学間の交流も盛んだったりしたのも面白かったですね。アメリカで有名な統計学の権威の授業にはあふれんばかりの学生が押し寄せていました。

 

4年生になると企業内インターンシップなどの実践的なカリキュラムがさらに増えます。インターンシップ先は大学が斡旋するのではなく自力で探します。私はインベストメント会社の仕事を経験しました。ボストンの企業は大学生のインターンに慣れているので、それほど会社を探すのに苦労はしませんでした。

 

国を越えて転職し、キャリアアップを実現

 

大学を卒業した後はどのようにキャリアを積まれたのですか?

 

大学卒業後に一番初めに勤務したのはボストンの投資会社です。私は人材紹介会社を通じて職を探しましたが、アメリカの企業が大学内で就職説明会を開いてくれる就職フォーラムで就職先を見つける人もいました。

 

その後、EUの合併で注目されていたヨーロッパに興味を持ってオランダのハーグに移り住み、住まいのすぐ近くにあったシェル本社にアプローチして内部コンサルティングの仕事に就きました。世界各国のシェルから人材を集めてワークショップを行ったり、アメリカの著名な大学教授をコンサルタントに迎えたり、すごく刺激的な仕事でした。私はアメリカとヨーロッパの両方で働いた経験があったので、アメリカ人の教授から「なぜアングロダッチ(イギリスとオランダ系)はこういう方法で仕事するの?」など、仕事との関わり方や進め方についてよく質問されました。

 

― アルゼンチンやロンドンで働くことになったのはどういうきっかけからですか?

 

ハーグ本社のワークショップに来たアルゼンチンのシェルの社長から声をかけていただいたのがきっかけです。他社との新商品戦争の鍵を握るマーケティングを任せてもらいました。アルゼンチンは南アメリカ地域のシェルをリードしていた国。ここでのPOS(販売時点情報管理)やプロモーションはチリやブラジルなどの他の南アメリカのブループリントになるので、とてもやりがいがありました。

 

ロンドンでは大学時代からの憧れだった最大手コンサルティング会社のアンダーセンコンサルティング社(現・アクセンチュア社)にシニア・コンサルタントとして入社し、マネージャー職も経験しました。

 

国が変われば気質も違う。出会いを通じて人を見極める目を養おう

 

― 国によってビジネス環境や習慣の違いはありましたか?

 

どの会社も世界に拠点を置くグローバルな会社だったので国によるビジネスの違いはあまり感じませんが、やはり気質は違いますね。スキルや売り上げ重視のイギリスやオランダはドライな印象ですが、チームワークやコミュニケーションを重視するアメリカは仕事の熱量が高いように感じます。アルゼンチンになると気質が熱すぎて会議なのか喧嘩なのかよくわからないようなことも。初めはドキドキしましたが「これが僕たちのやり方。こうやって良い案が出るから心配しないで」と言うのです(笑)。

 

いろんな気質の方々と上手く仕事をするにはどういうコツがあるのでしょう?

 

コンサルティングでは、仕事を通じて人を見極める目を養えます。それにいきなり一人で全く知らない国で暮らし始めるという経験が豊富なので、新しい街ではとにかく早く知人を作る努力をしました。たくさんの人と知り合い、人の性格や気質を見極めてきた経験も役に立ったのかなと思います。今はどんな人でも一度話すとなんとなく接し方がわかりますよ。無理に合わせる必要はありませんが、気持ち良く仕事するためにも相手の気質を知っておくのは重要ですね。

 

それから海外で働く場合は第一印象が鍵を握ります。下手に出て控えめにすることは決して良い印象を与えませんので、自信をもって堂々と自分の意見を述べるようにしています。海外で仕事をしてみると、特に女性は「女性と男性が対等に仕事をする」「日本人が西洋人と対等に仕事をする」という二つのカルチャーショックを体験するでしょう。海外に出る前に実際に仕事のリーダーとして活躍されている方の自伝を読んだりしてマインドセットしておくと良いかもしれません。

 

最後に大学の正規留学を考えておられる方にアドバイスをお願いします。

 

大学の正規留学を目指すなら、自分の学びたいことを決めて徹底的に大学をリサーチしましょう。アメリカの大学案内などで調べるのも良いですが、できれば留学前に大学を訪問してみるのがおすすめです。自分の目で大学や住む街の雰囲気を見るのは大切。私の意見ですが、留学生をたくさん受け入れている国際的な大学の方が留学生のための教育システムが整っていると思います。また、英語を使って何かを学ぶのが大学留学ですが、英語力不足でその後の学習がつまずかないよう、留学前にできる限り自分の英語を伸ばしておくと良いですね。

リスクのないところにリワードはない。自分の望みに向かって真っすぐに

 

「日本人だったの?ってよく驚かれるんです」とシェリーさん。“ちはる”という本名が英語で発音しにくいと知り、教授に名前を覚えてもらうためにシェリーと名乗り始めたと言います。ヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアなど国も大陸も越えたキャリアについて尋ねると、「私は昔から謎解きや困難なことを解決することにワクワクするタイプ。それにリスクのないところにはリワードはないですしね」と笑います。

 

現在、シェリーさんは経営コンサルタントとして独立し、夫と二人の娘とともにシドニーに暮らしています。「子どもを持つ女性が働きやすいフレキシブルなこの街で、今後も自分の信じる仕事に取り組んでいきたい」と語ってくれました。

 

新しい世界に飛び込む勇気と行動力、目的を達成するためのたゆまぬ努力が、シェリーさんの国際的な活躍の源になっているのでしょう。

 

筆者:林カオリ/ライター・エディター

関西を拠点に活躍するライター・エディター(クリエイティブオフィスこゆうじん代表)。知的財産管理技能士。日本にてコピーライター、編集者、ライターを経験した後、15年間オーストラリアに在住。シドニーでは日豪両国の各種媒体に執筆を行う傍ら、2児の海外出産と子育てを経験する。海外の実体験に基づくライフスタイル、旅行、教育、留学関連記事が得意。

 

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