海外で部署替えはありえない?日本と違うオーストラリアの人事・雇用制度
ITの発達やグローバル化を背景に世界はグンと狭くなりましたが、いまだに仕事でも生活面でも海外との違いに驚くことはたくさんあります。そのひとつが人事・雇用制度。オーストラリア企業では、社員の権利や自由度が大きい反面、日本と比べて厳しい側面も。海外就職に興味があれば、グローバルな視点でキャリアアップを考えてみてはいかがでしょうか?
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目次
Introduction
社内の公用語を英語にしたり、外国人取締役が活躍したりと、ますます国際化が進む日本企業。それでもひとたび海外に目を向けると、ビジネス上の常識の違いに驚くことが少なくありません。
国柄や法律によって大きく異なる社内の人事や雇用制度も、そのひとつ。例えば、シビアな実力主義でありながら働く側の自由度が高いオーストラリア企業は、特定の専門分野でプロフェッショナルを目指す人には好環境といえるでしょう。
今回は、オーストラリアを例に日本とは大きく異なる海外の人事と雇用制度をご紹介します。
オーストラリアでは、会社都合で専門外の部署に異動になることはない
「総務で活躍していた人が突然営業部に配属された」「仕事のミスが原因で花形部署から別の部に異動させられた」。このようなケースは日本では珍しいものではないでしょう。
一方、オーストラリアでは、いったん営業職として採用されれば、ずっと営業畑で活躍するのが一般的。会社の都合で専門外の部署に異動になることはほぼありません。これは国民性というよりも、労働や雇用に関する法律や制度が日本と異なるからです。
オーストラリアでは、雇用時に労働条件を子細に定め、雇用される側と雇用する側の双方が納得した上で契約が結ばれます。給与や福利厚生、労働時間、残業に関する取り決めなどを記した「契約書(Contract)」と、仕事の内容を細かく規定した「職務内容書(Job description)」の二つが契約の柱。ここで記されていないことには従う必要はなく、もし、契約外のことを強要された場合はハラスメントとして会社を訴えることもあります。
なお、日本には「春の風物詩」ともいえる「転勤」がありますが、オーストラリアに転勤が無いのかといえば、そうでもありません。転勤についても雇用契約書や職務内容書に記載されているかどうかで、その有無が決まります。ちなみに、契約書に転勤に関する記載があったとしても拒否する権利は労働者にありますが、納得して契約をしている以上は従う人が多いようです。
自由度の高いオーストラリア。しかし、契約社会だからこその厳しさも……
「気に入らない部署で働かずに済み、そのうえ転勤も拒否できるなんて、オーストラリアの会社員はうらやましい!」なんて思ったかもしれませんね。理不尽なことに“NO!”を言える自由度は、確かにオーストラリアの方が高いでしょう。しかし、すべてが子細に決められている契約社会だからこそ、日本以上にシビアな点もたくさんあるのです。
例えば、日本でよくある懲罰人事。仕事で大失敗をしてしまい、望まぬ部署に異動させられるシーンはドラマなどでもよく見られます。日本では酷な仕打ちに映りますが、海外の目線で見れば、これはある意味、優しい制度。オーストラリアの場合、大きな失敗は「クビ」に直結します。
日本企業は人事権を握ってはいるものの、法律上、社員を簡単に解雇できません。一方、オーストラリアは日本ほど解雇規制が厳しくないため、明らかな法令違反でない限り比較的容易に解雇できるのです。
そんな厳しい側面も持つ海外企業ですが、自分の専門分野を極めたいプロ志向の人にとってはうってつけの環境といえます。出世や給与アップも自分の頑張り次第。積極性と実力さえあれば、専門分野を生かしながら国も会社も股に掛けてキャリアアップを実現できるでしょう。
専門性を極めたいプロ志向なら海外企業の方が合う?
どの企業も、それぞれの国の法律や習慣に合わせた制度を採用しています。日本企業の海外支社では現地の国に合わせた制度を採っていますし、外資系企業の日本支社は日本の法律に則っています。
国や会社によっても詳細は異なるために「海外企業」を一括りにすることはできませんが、契約社会が根底から根付いた西洋の国々では、専門性の高いプロ集団で会社が成り立っていることが多いのも事実。ひとつのことを極めたいプロ志向の人なら、海外企業の方が合い、世界市場でめきめきと出世できるかもしれません。ぜひ、海外就職にチャレンジしてみてくださいね。
筆者:林カオリ/ライター・エディター
関西を拠点に活躍するライター・エディター(クリエイティブオフィスCOUJIN代表)。知的財産管理技能士。日本にてコピーライター、編集者、ライターを経験した後、15年間オーストラリアに在住。シドニーでは日豪両国の各種媒体に執筆を行う傍ら、2児の海外出産と子育てを経験する。海外の実体験に基づくライフスタイル、旅行、教育、留学関連記事が得意。
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