欧米の常識“レディーファースト”はビジネスシーンでも適用すべき?

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Summary あらすじ

西洋諸国では常識と考えられているレディーファーストは、ときにビジネスに悪影響をもたらすことも。“海外=レディーファースト”という、画一的な思い込みはトラブルの元。海外で活躍する現役ビジネスコンサルタントのシェリー・ラファン氏のリアルな体験をもとに、状況や環境で大きく変わる海外のビジネスマナーの現実をご案内します。

女性に対するマナーとして定着している“レディーファースト”。「紳士たるもの女性を丁重に扱うべき」という西洋諸国の古き良き習慣ですが、取引先との商談や上司とのミーティングなど、ビジネスシーンでも適用するべきマナーなのでしょうか?

日常生活では当たり前?昔ながらのレディーファースト

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“レディーファースト”という言葉は、誰でも一度は耳にしたことがあるはず。男性が女性をかっこ良くエスコートする姿は、映画の中だけでなく、欧米の日常生活でもよく目にします。

 

例えば、「女性が車に乗る際には男性がドアを開閉してくれる」「エレベーターに乗る順番は女性が優先」「扉を開けるときはドアマンのように男性がドアを押さえてくれる」など、まるで一流ホテルのスタッフのような立ち居振る舞いに思わず見惚れてしまいそうになります。

 

オーストラリア在住時に、筆者が伝統ある高級レストランに入ったときのことです。自分の食事を真っ先にオーダーしようとした同席の男性が、「まずは女性から」とウェイターさんに笑顔でたしなめられたことがありました。淑女としての扱いに背筋が伸びる思いでしたが、海外生活ではこのレベルのレディーファーストは日常茶飯事。最近では、行き過ぎたレディーファーストは敬遠される傾向にあるものの、女性を大切にする習慣は欧米紳士の心に深く根付いています。

逆差別に要注意!ビジネス上の異性間マナーは一筋縄ではいかない

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このように、日常生活におけるレディーファーストは、伝統的な紳士のマナーとしていたる所で目にしますが、ビジネスシーンでは女性に対してどのように接するのが正解なのでしょうか?

 

海外で活躍するビジネスコンサルタントのシェリー・ラファンさんによれば、ビジネス上にレディーファーストを取り入れるかどうかは、育った国や生活環境といった個人的要因と、働いている会社や業界などの環境的要因によって変化するそうです。

 

例えば、アメリカのビジネスシーンでは、レディーファーストの習慣が廃れてきたといわれています。男女の雇用差が日本よりも少ないアメリカでは、レディーファーストのような性差のあるマナーがビジネスにそぐわなくなってきているのでしょう。わかりやすい理由のひとつが“Post-Feminist(ポストフェミニスト)”。海外のマナーだと思ってレディーファーストの態度を貫いたがために、性差を付けられることを嫌うフェミニストから「女だからってバカにしているの?」と怒りを買うこともありえるそうです。

 

また、レディーファーストをどこまで適用するかは、会社の体質や役員レベルの経営陣の考え方にも大きく左右されるため、紋切り型にアメリカはこう、イギリスはこう、と断定することはできません。ビジネスシーンでは、日本と同様に役職や立場の高い人を優先するのが海外でも一般的ですので、その上で、常識的なレベルでレディーファーストを適用するのがもっともスマートなマナーといえそうです。

 

しかし、ビジネス上ではレディーファーストが影を潜めるからといって、男性優位になるのかといえばそれはやはり大間違い。性別の差を理由に仕事内容を限定したり、接し方を変えたりすることは日本でもタブーですが、欧米での反応は日本以上と考えたほうが良いでしょう。

 

ある企業で女性CFO(最高財務責任者)として活躍していたシェリーさんの友人は、自身の企業が日本企業に買収された際、日本から来た同僚のビジネスマナーに驚いた経験があるそうです。彼女にだけ挨拶をしなかったり、朝のコーヒーやミーティングに声をかけなかったりなど、あからさまに女性を疎外する同僚の態度に、怒りを通り越して呆れてしまったということです。

 

上記は極端な事例ですが、女性管理職に慣れていない企業では、まだまだ女性の同僚や上司に対するリスペクトが足りないこともあるかもしれません。バリバリ働く同僚を性別で区別してしまい、激怒されたり呆れられたりすることのないように注意しましょう。

ビジネス上のレディーファーストはTPOに合わせて柔軟に

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ビジネス上の習慣は、国だけでなく会社のトップの考え方や各業界の伝統など、さまざまな要因によって異なります。“海外=レディーファースト”だと思い込み、周りの雰囲気をよく理解せずに極端な行動に走ってしまうと敬遠されることにもなりかねません。

 

仕事もマナーもバランス感覚が大切です。画一的な情報に翻弄されることなく、しっかり自分の目で状況を判断して、円滑なビジネス関係を結んでください。

 

 

【情報提供者】

Sherry Laffan(シェリー・ラファン)

シドニー在住の国際派経営コンサルタント。イギリス、アメリカ、オーストラリアの他、オランダやアルゼンチンなど、世界各国でマーケティングのスペシャリストとして活動したのち、業務改善のアドバイスを行う経営コンサルタントとして独立。日本語・英語とも堪能なバイリンガルビジネスパーソンとして、各業界から絶大な信頼を得ている。

 

筆者:林カオリ/ライター・エディター

関西を拠点に活躍するライター・エディター(クリエイティブオフィスCOUJIN代表)。知的財産管理技能士。日本にてコピーライター、編集者、ライターを経験した後、15年間オーストラリアに在住。シドニーでは日豪両国の各種媒体に執筆を行う傍ら、2児の海外出産と子育てを経験する。海外の実体験に基づくライフスタイル、旅行、教育、留学関連記事が得意。

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