海外駐在に必要な英語力とは?赴任先別の目安とおすすめの勉強方法まとめ
海外駐在が急に決まった、海外で働いてみたい。このような場合、必要な英語力はどのくらいになるのでしょうか。もちろん滞在国や職種・業種、その他様々な要因で必要とされるレベルは異なりますが、いざというときのために、海外駐在に必要な英語力はどのくらいかを把握しておきませんか?今回はどのくらいの英語力が必要かをケースごとにまとめ、おすすめの勉強方法を合わせてご紹介します。ぜひご参考にしてみてください。
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海外駐在に必要な英語力の目安は?
一口に「海外赴任」と言っても、どこの国に赴任するか、赴任先がどのような環境下か、などで求められる英語力が変わってきます。今回は大きく3つのケースに分けてご紹介していきます。
■英語圏に駐在する場合
アメリカやイギリス、オーストラリアなどの英語圏に駐在する場合、高いレベルの英語力が求められます。
「ネイティブ同士」の英語が多い環境のため、ネイティブに近しい英語能力をお持ちでないと、コミュニケーションがうまく取れない可能性も出てきます。
ビジネス英語の能力を測る資格試験「TOEIC」の調査によると、L&Rテストスコアの場合、企業側からは600~800が求められることが多いようです。駐在となると800点の取得を目指しておくと安心です。一方で、L&Rスコアが良くても、スピーキングやライティングに自信がない人は多くいるようです。TOEICにはS&Wテストもありますので、不安のある方は勉強をしておくのも良いでしょう。
また駐在先では語学力に加えて、マナーや異文化理解力、コミュニケーション能力も求められます。
英語を単純に日本語訳した場合とニュアンスが異なる場合がありますので、正しく理解する必要があります。例えばビジネスの場で「That’s fine」と使うときには注意が必要です。「それ、良いですね」と言うときについ使いたくなりますが、「いいんじゃない?」「それで大丈夫ですよ」という表現になりますので、場合によっては相手を不快にさせてしまうかもしれません。相手の提案をほめるときは「That’s great」などを使い、ありがとうの返事として「どういたしまして」と言いたい場合は「That’s OK」などを使用しましょう。
また会議の場において日本ではあまり発言をしない傾向があります。会議の後に聞いてみようとか、この発言をすると不快に思う人がいるのでは、などと感じることがあるからです。しかし日本を出てみると、会議で発言しないと「能力がない」と思われたり、持ち帰って確認したりしていると「能力がない」ととらえかねられません。
また、最近は日本でも少なくなりつつありますが、退社後の職場飲み会なども少ない国が多いです。ビジネスのことはあくまでもビジネスの時間で、それ以外はプライベートとはっきり線を引くケースが多く見られます。
赴任先がどのような国であるか、しっかり調べておきたいところです。
参考:【活用事例】海外出張や赴任の基準|団体のご担当者様|【公式】TOEIC Program|IIBC
■非英語圏に駐在する場合
非英語圏に滞在し、滞在先で英語を使用する場合は、難しい英語だと相手に正しく伝わらないかもしれない、という気持ちを持っておくことが大切です。難しい単語を使わず、簡単な表現で丁寧に話すことを心がけましょう。伝えることを考えるときに、簡単な用語に置き換えて英語にするイメージです。簡単な表現をゆっくり丁寧に話す、を念頭に会話をしましょう。
TOEIC L&Rのスコアとしては、600点前後を目安とするとよいでしょう。ビジネスで使用する基本的な単語や文法を押さえることができる、と判断されます。
■日本人が多い環境に駐在する場合
駐在先に日本人が多い場合や取引先も日本法人などの場合は、日常的に日本語を使用することが多くなります。そのため、最低限の英語力があれば勤務は可能でしょう。しかし、会社の外に出れば日常会話は主に英語で行われます。日本語が使えない機会も多いでしょう。生活時の上で不自由しないためにも、必要最低限の英会話能力は必要です。
英語に自信がない方で駐在が決まった場合は、まずは中学英語から復習することがおすすめです。リーディングやリスニングだけでなく、ライティングやスピーキングも対策をしましょう。日常的に英語を聞くことも良い訓練になりますので、ドラマや映画を観るときに音声を英語に設定したり、お気に入りのゲームの言語設定を英語にするなどして、楽しむ環境で英語を取り入れるようにしていくと自然と英語に触れる時間を増やすことができます。赴任まで間がない場合は専門のスクールに通うこともおすすめです。生活するうえで必要なフレーズを効率よく学ぶことができます。
英語ができないデメリットとは
駐在先で必要なレベルの確認はできましたが、海外駐在でそのレベルの英語ができないと、どのようなデメリットがあるでしょうか。具体的に見ていきましょう。
■コミュニケーションが取れない
海外駐在先で日本人が多い場合でもそうでない場合でも、多くの場合は現地スタッフがいます。スタッフとコミュニケーションをとるには英語が必要になりますが、その英語ができないとコミュニケーションがうまく取れない可能性があります。
上手くコミュニケーションが取れないと、相手から信頼されず取り合ってもらえなくなるかもしれません。間違った表現をしてしまって相手を不快にさせてしまう可能性もあります。何気ないやり取りからその人となりを知り、その人がどんな人なのか、どのように付き合っていけばスムーズにコミュニケーションがとれるかを知ることは、日本でも海外駐在先でも等しく大切です。海外駐在先では、そのきっかけになるスモールトークなどの日常会話を英語で行う必要がありますので、英語ができないことは最初の関係の構築に大きなデメリットとなります。
■緊急時の対応の遅れが発生する
緊急事態やトラブルの発生時に、対応が遅れるとそれだけで状況が悪化してしまうこともあります。これはビジネス上でも日常生活でも同じです。例えば、急なリスケジュールを受けた場合に、メンバーにどのように伝えればよいでしょうか。また休日の外出中に熱中症気味になってしまった場合、どのように助けを求めるのがよいでしょうか。手続きに必要な英語や安全に関する情報は早いうちに習得しておきたいです。
■ビジネスチャンスの損失
語彙力や表現力が不足している状態だと、ビジネスチャンスを損失してしまう可能性もあります。日本語ではうまく説明できるのに英語では正しく伝えられなかったり、相手が質問した内容をうまく聞き取れずにあいまいに返してしまったりすると、相手から信頼されず交渉が難しくなってしまいかねません。
■孤立感を感じ、日常生活に支障が出る
日常会話は現地で生活するうえでも必要です。小さな買い物一つにしても、意思疎通ができずに苦労し小さなストレスが溜まっていきます。ただでさえ慣れない土地で生活するのですから、英語ができないとそのデメリットは大きなものになります。日本語が通じるからと、日本語が使える場所にばかり顔を出していると英語力が伸びず、結果悪循環に陥ってしまいかねません。
このように、英語ができないことによって仕事も生活もうまく立ち行かなくなる可能性があります。現地で英語を強制的に学べるだろう、と思っていると大きな事故になりかねません。赴任まで間も無い場合でも、渡航までにできる限り準備することを強くお勧めします。渡航前に自分に足りていない英語力を強化しておくことで、駐在先での生活が充実したり、仕事で同僚やお客さんと信頼関係が築けるようになり、よいスタートが切れるはずです。
おすすめの勉強法5選
それでは具体的にどのような学習をして準備を進めればよいでしょうか。ここからは、今日からでも始められる学習方法についておすすめを5つご紹介します。
■中学レベルの文法を学び直す
駐在先で日本人が多く、あまり英語ができなくても大丈夫そうな場合でも、中学レベルの文法は押さえておきましょう。基本的なやり取りやビジネスでの英語は、実は中学で学ぶ文法を押さえておけば大丈夫な場合がほとんどです。しばらく英語学習から離れていた、と言う人も、まずは土台固め・復習として中学英語を押さえておくと、その次のステップの学習がスムーズに行えます。
スマホで手軽に学習できる「Duolingo」をはじめてみたり、NHKのラジオ英語学習を活用するのもよいでしょう。時間がない場合は専門のスクールで学び直すのも効率的です。
■単語学習
単語学習は、英語学習初心者から上級の学習者まで等しく続けている学習です。いわば英語学習の筋トレのようなものです。毎日少しずつ鍛えることで、大きな差が出てくる学習でもあります。
単語をただの暗記として覚えてしまうとどうしても忘れていってしまいがちです。そのため、効率よく学習して使える単語として覚えていく必要があります。
まず、効率よく語彙力を増やすために知っておきたい「エビングハウスの忘却曲線」についてお伝えします。
まずはこちらのグラフをご覧ください。
グラフの赤字部分では、学習した情報は指数関数的に失われることが分かります。しかし一度記憶してからなるべく早く復習をすると、忘却率が下がることも分かります。
この考え方を活用すると、1日10単語を10日間で覚えるよりも、1日100単語を10日間セットで繰り返し覚える方が効率よく記憶に定着させることができる、と言えます。
次に、学習方法として「マルチセンサリー学習」をご紹介します。これは、複数の感覚を使って学習することを意味します。単語学習においては単語を見る(視覚)だけでなく、同時に発音を聞く(聴覚)、書き取りをする(触覚)、声に出して読む(聴覚)などを一緒に行うとより覚えやすくなる、と言う仕組みです。例えばウォーキングをしながらイヤホンで単語を聞く、オーバーラッピングやシャドーイングなどの発声を一緒に行う、などです。
またその他にも、どうしても覚えられない単語がある場合は、画像検索して視覚的に覚えるのも効果的です。覚えられない単語を聞いたり見たりしたときに、日本語を引き出すよりもイメージを引き出す方が速い、と言われます。映像化しづらい単語の場合は、その単語を使って英作文を作るのもよいでしょう。アウトプットする過程を経ることで、記憶に定着しやすくなります。
■シャドーイング
シャドーイングは、聞こえてきた英語の音声を影のように追い、「聞きながら発声する」を繰り返す学習方法です。通訳者も行うようなトレーニングで、難易度の高い学習方法になります。しかし、できるようになると、リスニング・スピーキング共に大きく能力の上がるトレーニング方法です。ぜひチャレンジしてみましょう。
やり方は次の通りです。
・自分の目的・レベルに合った教材を選ぶ
読んだり聞いたりしたときに少し簡単かな、と思う程度の英文から始めましょう。長さは1分前後が理想的です。初めての場合は短い英文から始めましょう。スクリプト(文字)も確認できる音声のほうが良いです。
・内容を理解する
教材を理解するために通常の速度で聞きましょう。何と言っているか分からない部分があれば、スクリプトを見たり、再生速度を落としたりして確認をしましょう。未知の単語や知らない表現だった場合は、この段階で調べておきます。内容を理解しないままシャドーイングに入らないように気をつけましょう。
・シャドーイングを行う
教材の音声の後を追いながら実際に発話してみましょう。始めたうまくできないことがほとんどですが、繰り返しても難しいと感じる場合は、教材のレベルを落としたり、再生速度を下げたり、オーバーラッピングを行いましょう。オーバーラッピングとは、スクリプトを見ながら音声と同時に発話する方法です。オーバーラッピングに慣れてきたらシャドーイングへ移行しましょう。シャドーイングした音声は録音しておくと、後の復習に役立ちます。大きな声でしっかりと発声しましょう。
・復習・繰り返し演習を行う
自分の発話を聴きなおしてみると、言えていたと思っていてもうまく言えていなかったりする場合があります。繰り返し行うことで定着率が上がり、リスニング・スピーキング能力が上がります。録音を聞いてきちんと声に出せているな、と確認出来たら、次の教材にうつりましょう。
■瞬間英作文
瞬間英作文は指定された日本語やフレーズを、迅速に、かつ正確な英文に変換する学習方法です。専用の本やアプリもありますが、日常的にも取り入れやすいトレーニングです。語彙力の増強やスピーキングに効果があります。
まずは業務中や日常的によく使う表現・フレーズを 日本語でリストアップしましょう。業務でよく使う言い回しや単語などがあれば、取り入れておくと赴任先でもすぐに使うことができます。
次にリストアップしたフレーズや文章を英語に訳しましょう。正しく意味の通る文章になっているかはオンライン英会話などでネイティブに確認したり、難しい場合はDeepLなどのAI機能に判定をお願いしましょう。自分の誤りに気付きにくいので、定期的に他者から評価やフィードバックを受けることをお勧めします。慣れてきたら英文にするまでの時間を短縮することを目標に挑戦し続けましょう。
■オンライン英会話レッスン
オンライン英会話レッスンは、インターネットを利用してネイティブと英会話を行えるサービスです。専用のアプリやビデオ通話を使用して行われることが多いです。さまざまな国の方が相手として選べるサービスもありますので、赴任先が決まっている場合はその国在住の方とレッスンを行うと、その国で話される英語の特長や文化を学ぶこともできます。
オンライン英会話でレッスンをする場合は、授業を受けるつもりで参加するのではなく、自分から積極的に話すように努めましょう。聞きたいことをあらかじめまとめておいたり、何を主題にするのかを決めて臨みましょう。
何から勉強したらいいのか分からない場合は、カウンセリングサービスのあるレッスンを選びましょう。自分に今何が足りていないのか、どういう学習をすればより効果的なのかは、プロのカウンセラーに相談できると効率的に学習できます。
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いかがでしたか?今回は、海外赴任する際に必要な英語力や勉強方法などについてお伝えしました。これから海外駐在を目指す方はぜひ目安とされてください。急に海外駐在が決まり、時間がないと言う場合は、専門の英会話レッスンやスクールに通うことをお勧めします。赴任の準備や手続きを行いつつ英語の学習を進めるのは難しく、つい英語学習を後回しにしてしまうこともあります。しかしデメリットでお伝えしたように、赴任後に学習を始めるのはあまり良い案とは言えません。出来る限りの準備をして出発したいところですが、その際は効率的に学習ができるスクール等を活用すると、ご自身に必要な英語学習を限られた時間で行うことができます。
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