世界のごちそうが集まる?「世界のごちそう博物館」誕生秘話

2017.11.14旅行・留学
Summary あらすじ

世界のさまざまな料理を手軽に味わえる「レトルト」を販売する「世界のごちそう博物館」。料理人の本山尚義さんは30か国を巡る料理修行の旅へ。現地で体験したエピソードや、海外でのコミュニケーションのコツなどをインタビューしました。

神戸市在住の料理人、本山尚義さんは「世界のごちそう博物館」を2016年4月に立ち上げ、世界のさまざまな料理を手軽に味わえる「レトルト」を製造・販売しています。

 

商品には、料理修行中に現地の人気レストランや家庭の台所で教えてもらった地元の料理がラインナップ。

 

海外でさまざまな体験をした本山さんに、料理修行の体験談や異国でのコミュニケーションのコツを語ってもらいました。

 

【Profile】

本山尚義さん

大学卒業後、フレンチレストランで修行。インドで料理の価値観が変わり、料理修行の旅で30か国を巡る。神戸市で「世界のごちそう道厨房」「palermo(パレルモ)」をオープンし、「料理で世界平和に貢献を」と195か国の料理を出すイベント「世界のごちそうアースマラソン」開催。さらにレトルトを製造・販売する。レトルト専念のため店を閉店し、2016年4月に「世界のごちそう博物館」を立ち上げ、現在は54種類のレトルトをホームページや小売店、出店イベントなどで販売。他、料理教室や講演などでも活躍中。

料理で世界平和に貢献!「世界のごちそう博物館」とは?

―― 「世界のごちそう博物館」のパッケージの内側には、料理の味や具材の説明以外にも、その料理が生まれた国の歴史背景や諸問題なども書かれ、奥が深いと思いました。どんな思いで始めたのですか?

 

世界の料理を食べることは、その国の歴史や文化、社会問題などを知るきっかけになります。「こんな料理を食べているんだ」と、互いを理解し合うことができれば世界平和にもつながると思うんですよね。神戸でレストラン「palermo(パレルモ)」を営んでいたとき、そんな思いで2年かけて世界195か国の料理を出すイベント「世界のごちそうアースマラソン」を実施しました。

 

「料理で平和に貢献を」なんて引かれるかと思ったら、メディアなどでも取り上げられ、33人が完食。思いは伝わると実感しました。そして、来店されるお客さまだけでなく、もっと多くの人に知ってもらいたいと思いついたのが「レトルト」です。アメリカ南部の郷土料理「ガンボ」など、差別や飢餓、難民などの世界の問題を意識した4種類のレトルトを2013年に製造・販売を始め、2016年4月に立ち上げたのが「世界のごちそう博物館」です。

世界中の厨房や家庭の台所へ飛び込み!レシピを教えてもらう

―― 「世界のごちそう博物館」のレトルトには、世界中のレストランの厨房や家庭の台所を飛び込みで訪れ、教えてもらった料理も多いそうですね。料理修行に出たきっかけを教えてください。

 

料理好きでフランスの料理店で修行していたのですが、ある日、常連のお客さまにインドへ連れて行かれ、そこで料理の価値観が崩れました。フレンチは良い食材を煮詰めて作りますが、インド料理はスパイスを多用し、しかも朝昼晩カレーなのにすべて味が違っていて衝撃を受けました。そこから「世界にはもっとおもしろい料理があるのでは」と考えるようになり料理修行に出かけることにしました。

―― 料理修行中に大変だったことは?

 

巡った30か国、それぞれ有名レストランに足を運んで実際に食べたお店に「美味しかったので料理を教えて」と聞いてもたいていは簡単には教えてくれませんでした。

 

それで、食材を勉強したかったこともあり、毎日市場へ通って「これ何ですか?」と聞きまくったんです(笑)。すると「おもしろい人がいる」と話題になり「世界の料理を勉強している」と言えば、「家でご飯を食べる?」と誘われ家庭料理を教えてもらったり、レストランを紹介してくれて厨房でシェフから学んだりすることもできました。

 

―― 明確な目的があれば、いろいろな道からゴールへたどり着けるものなんですね。ちなみに今販売しているレトルトで、思い入れのある料理はありますか?

 

スペインの「アホ・スープ」ですね。フランスからスペインへ移動したときのこと。夜遅くに宿に着いたのですが、英語が通じず。苦労の末に何とか泊まれることになり、安心したら急にお腹が空いて近くのバルへ入ったんです。でも、入店しようとした瞬間に電気が消えて……。入口で落ち込んでいたら、バルのおばちゃんからスペイン語でまくしたてられました。怒られたのかと思ったのですが、店に入れてくれて、食べさせてもらったのがこのスープです。

 

カスティーリャ地方で親しまれているニンニクスープなんですが、ほっと気が抜けたところにおばちゃんの優しさが染み、食べながら号泣してしまいました(笑)。心配したおばちゃんに「僕は料理人で、世界の料理を学びに来た」と伝えたら大笑いされましたが、厨房でアホ・スープの作り方を教えてくれたんです。

 

笑わせろ!間違いを恐れるな!海外でのコミュニケーション術

―― 料理修行ではアジア、西ヨーロッパ、北アメリカ、中近東など世界の30か国を巡ったとのことですが、コミュニケーションのコツはありますか?

 

「どうしたら現地の人と打ち解けられるか」を常に考えましたね。「僕だったら、おもしろい人になら心を開く」と思い、ジョークやちょっぴり悪い言葉を言って笑わせるようにしました。市場でも、笑かすとまけてくれるんですよ(笑)。旅先で会ったアメリカ人は、英語が通じずにうなだれていると絶妙なジョークで励ましてくれて、グッときたこともあります。

 

海外では、コミュニケーションに英語は欠かせません。チベットでツアーに参加した際、ギリシア人やイタリア人など、さまざまな国の人と一緒になりましたが、共通言語は英語でしたしね。あと、得意なネタがあると良いですね。僕の場合は料理でしたが、郷土料理のように特に相手の国のローカルネタでは盛り上がりました。現地の言葉を覚えて使うのも、親近感を持ってもらいやすいですよ。

―― 海外に興味がある若者にメッセージはありますか?

 

海外で英語を話すことは、初めは怖いかもしれません。けれども、間違ってもなんとかなるものです。数をこなして成功体験を積み重ねれば、言葉も通じるようになるはずです。

 

そして、海外へ行くなら、僕の料理修行のように、何でも良いので目的を決めてほしいですね。目的なくその日を過ごすより、人のつながりも吸収できることも大幅に増えますから。

世界の“ごちそう”が、海外への興味を深めるきっかけになるかも

穏やかな雰囲気が印象的な本山さんですが、さまざまなたくましいエピソードが飛び出し、終始笑いと涙の絶えないインタビューとなりました。

 

海外でのコミュニケーションや有意義な旅を送るためのヒントがたくさん散りばめられているのではないでしょうか。

 

なお、本山さんのことをもっと知りたければ、著書『世界のごちそう 旅×レシピ』の一読もおすすめです。2017年12月15日には、世界196か国の料理のレシピ本も発売予定。世界の“ごちそう”が、海外への興味を深めるきっかけになるかもしれませんよ。

 

 

Interviewer&Writer:児島奈美/トラベルライター

旅行雑誌やWEB等で、国内外問わず現地へ足を運び取材・撮影を行う。得意分野は、旅のルポ、グルメ取材、人物インタビューで、渡航した海外はプライベートを含め約40か国。雑誌立ち上げのために約3か月、ベトナムに滞在したほか、プライベートで欧州周遊(約3か月)、米国横断(約1か月)、東南アジア周遊(約3週間)、米国滞在(約1年)の経験も持つ。実践の場で英語を使うことが多く、「英語はツール」をモットーに、わかりやすく使える英語を心掛けている。

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