京都市認定の通訳ガイドに密着!英語を活かす仕事の魅力に迫る

2017.02.28英会話

近年、日本を訪れる外国人旅行者が急増。2020年開催の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、ますますの増加が期待されています。そんな中、外国人旅行者に人気の高い古都・京都では、地元の歴史や文化、伝統産業などに強い京都市認定通訳ガイド制度「京都市ビジターズホスト」が発足。2016年8月に第1期生が誕生しました。

 

金田真紀子さんは、555名の応募の中から1期生56名に選ばれたひとり。2月に京都市ビジターズホストが二条城で開催した英語ガイドツアーで同行し、通訳ガイドとして活躍している姿に密着しました。

 

【Profile】
金田真紀子さん
社会人として働いた後、24歳で留学を決意。4年後に帰国し、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンのエンターテイメント事業で3年間勤務。その後、フリーの通訳者へ。海外メディアや製造業などのビジネスアテンド、VIPアテンドなどの経験を多数積み、顧客のニーズを読んだ心地良い距離で寄り添うガイドに定評がある。2年前に結婚を機に京都へ移住。2016年に通訳案内士を取得し、同年、京都市ビジターズホスト1期生にも認定。

わかりやすく、でも幼稚には聞こえない英語を日々改善しながら実践

今回の英語ガイドツアーは、京都市ビジターズホストが京都市や京都文化交流コンベンションビューローなどの協力を得て、二条城と京都迎賓館の2か所において期間限定で試験的に行われているものです。金田さんが通訳ガイドをしたのは、ユネスコの世界文化遺産にも登録されている国の史跡、二条城。1期生の同期2名と計3名で、約10名の外国人観光客を相手に約1時間30分かけて英語で案内します。

 

当日集まった参加者は、オーストラリア人やドイツ人など13名。まずは二条城内にある休憩所で、オリジナルのパンフレットを渡し、二条城の歴史などについて説明してくれました。パンフレットはシンプルにまとめられ、わかりやすいのに好感。というのも、英語ガイドはノンネイティブも利用するため、難しい言葉を使われると伝わりづらくなるからです。金田さんも「ネイティブの小学生でもわかるような、けれども幼稚には聞こえない英語を日々改善しながら使っています」と種明かし。

 

また、学校の歴史の授業のように年表や建築様式、名前などを羅列するのではなく、例えば、天皇家と将軍家の家紋の違いなど、知識がなくても興味を引くような話を中心にしながら日本や二条城の歴史や文化を学べる構成になっていて、目のつけどころの良さに感心しました。

 

「ツアーでは集まった人によって若干内容を変えています。けれども、やさしすぎても難しすぎてもダメなので、さじ加減には頭を悩まします」と通訳経験が豊富な金田さんでも苦労をされている様子。しかしながら、ツアー参加者のこぼれる笑顔や感嘆に、金田さんたちの努力や工夫が心に届いているように感じました。

ただ知識を伝えるのではなく、楽しめるエンターテイメント性も重視

休憩所を出発した一行は、まずは重要文化財の唐門へ。「将軍の威光を示すために、庭は松などの常緑樹で構成されています」「廊下はエコなセキュリティが使われています。建物に入ったときに楽しみにしていて」など、さまざまな小ネタを聞きながら、特別名勝の二の丸庭園を歩き、本丸櫓門前の東橋に向かいました。

 

本来のルートでは、二の丸御殿を見てから本丸御殿に行きますが、あえて反対にしているのにも意味があります。「城というと、外国の人たちは姫路城のような天守閣を想像しがち。観光のメインである二の丸御殿を見た後だと、石垣だけが残された遺跡にがっかりしてしまうので、このツアーでは先に立ち寄ります」

 

そして、ここでは金田さんがバッグから取り出した、おもちゃの刀が大活躍。特製の折り紙カブト、色鮮やかな和傘も登場し、城跡前で記念撮影タイムが始まりました。刀を振り回してノリノリの男性グループ、石垣と堀をバックに和傘ですまし顔のカップルなど、参加者たちのテンションは最高潮に。

 

「京都市ビジターズホストの今回のガイドでは、ただ知識を伝えるのではなく、エンターテイメント性も大切にしています」と金田さん。確かに、こうしたちょっとしたイベントやハプニングが旅の印象深い思い出になるのは間違いありません。

「京都に恋をしてほしい」。京都観光に関する知識の吸収にも意欲的

そして、いよいよ二条城のハイライトである二の丸御殿に到着。ここは金田さんが中心に担当します。障壁画に描かれている絵の内容や畳の高さの違いなどに着目し、どんな部屋だったのか、将軍はどこに座っていたのかなど、外国の人にもわかりやすく説明していました。参加者から時折出る質問にも、すぐ答えてもらえるのも通訳ガイドの良いところです。

 

ツアーの1時間30分はあっという間に終わり、参加者も大満足。ガイドツアーが終わった後も、休憩所に戻り、京都の地図を広げて、おすすめの寺社、食事や体験スポット、アクセスなどグループごとに丁寧にアドバイスをしてくれるのに驚きました。しかも観光案内所さながらの知識の深さ。「京都市ビジターズホストは、京都に特化した通訳ガイドですからね。観光に訪れた人たちには京都に恋をしてほしいと思っています」と金田さんはにっこり笑います。

ツアーに参加した外国の人たちに声をかけてみると「ガイドさんの知識が豊富で、勉強になりました。フレンドリーなのも良いですね。城跡前のピクチャータイムもおもしろかった!」とオーストラリア人の女性は満面の笑顔で答えてくれました。一方、ドイツ人の男性は「いろいろと細かく説明してくれて楽しかったよ。これからランチを食べに行くんだけど、地図上でいろいろと助言してくれ助かった」と豆腐料理を食べに行くことを決めたようでした。

京都に訪れた外国の人たちの旅や人生の1ページとして彩りたい

最後に、金田さんに通訳ガイドの魅力を語ってもらいました。

 

「通訳ガイドの仕事は非常に奥深く、一生勉強が必要で今やすっかり歴史オタクです(笑)。『大変な道へ来てしまった』と思うこともありますが、体力があれば年齢に関係なくできる仕事ですし、海外のお客さまとダイレクトに接することができるのが魅力ですね。『日本に、そして京都に来て良かった』と言われると大きなやりがいになります。京都ビジターズホストは始まったばかりですが、ガイドブックには載っていないスポットの紹介や、サプライズやスペシャリティのある“おもてなし”を、同期や地元のみなさんと協力して実践したいですね。京都に訪れた外国の人たちの旅や人生の1ページとして彩れたら嬉しく思います

 

さて、今回の京都市ビジターホストの英語ガイドツアーの密着、いかがでしたか?ただ通訳をする、ただガイドをするのなら、音声ガイドやガイドブックでも代替可能です。旅の楽しい思い出を提供しようとするホスピタリティは、通訳ガイドならではと脱帽する思いでした。

 

また、京都市ビジターズホストは、京都に特化して第一線で働く職人や大学講師から直々に専門研修を受けているため、京都の旅の楽しさをさまざまなアプローチで提供してくれそうだと今後の活躍に期待がふくらみました。

 

金田さんをはじめ、京都市ビジターズホストや関係者のみなさん、外国人観光客のみなさん、ありがとうございました!

 

【取材協力】
京都市ビジターズホスト
https://www.kyotovisitorshost.com/ja/

 

Interviewer&Writer:児島奈美/トラベルライター
旅行雑誌やWEB等で、国内外問わず現地へ足を運び取材・撮影を行う。得意分野は、旅のルポ、グルメ取材、人物インタビューで、渡航した海外はプライベートを含め約40か国。雑誌立ち上げのために約3か月、ベトナムに滞在したほか、プライベートで欧州周遊(約3か月)、米国横断(約1か月)、東南アジア周遊(約3週間)、米国滞在(約1年)の経験も持つ。実践の場で英語を使うことが多く、「英語はツール」をモットーに、わかりやすく使える英語を心掛けている。

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