世界の食文化シリーズ「世界無形文化遺産にも登録されている地中海の食事」

2018.03.20旅行・留学
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Summary あらすじ

世界無形文化遺産にも登録されている「地中海の食事」。1か国ではなく周辺の国々と共同で登録されています。地中海沿岸諸国の伝統的な食事は、健康的な食事法としても有名。スペインのタパスやイタリアのカプレーゼなど、日本人に人気の料理も多くあります。

日本同様、世界にはさまざまな食文化があります。食文化を知れば、その国柄が見えてくるものです。そこで今回から数回にわたり「世界の食文化シリーズ」と題して、世界各国の食文化をご紹介していきます。

 

第1回目は、世界無形文化遺産にも登録されている「地中海の食事」です。

「地中海の食事」は地中海の生活文化や食習慣を含めての無形文化遺産

「地中海の食事」は地中海の生活文化や食習慣を含めての無形文化遺産

1972年の国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づき、歴史的建造物、遺跡、景観、自然など、人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持つものが「世界遺産」としてリストに登録されています。

 

なお、これらは「有形文化遺産」に分類されますが、地域ごとに多様な形態で存在する文化を包括的に保護するために「無形の文化遺産」を保護することも認識されるようになり、2003年のユネスコ総会で「無形文化遺産保護条約」が新たに採択され、各国の音楽、舞踏、祭り、儀式、伝統習慣、工芸、食文化などが無形文化遺産として登録されることになりました。2013年には日本の「和食」も世界無形文化遺産として登録されましたが、料理そのものではなく、背景にある文化全体が無形遺産として登録されています。

 

今回のテーマである「地中海の食事」は、英語ではMediterranean dietと呼ばれますが、これは日本語でいうところの「ダイエット」ではなく、食事法という意味。地中海の生活文化や食習慣を含めての無形文化遺産であり、「地中海の食事」は1か国ではなく周辺の国々と共同で登録されています。2010年に、イタリア、スペイン、ギリシャ、モロッコの4か国が登録され、その後2013年にポルトガル、クロアチア、キプロスが追加されました。

 

ちなみに、ヨーロッパ大陸に対してアフリカ大陸にあるモロッコは、地中海の食事とは少し印象が違うように感じられますが、モロッコ料理はアンダルシア料理などの影響を受けています。私も6年ほど前に日本在住のモロッコ女性からモロッコ料理を習っていましたが、あまり辛くなく、日本人にもなじみやすい食材と味付けでした。反面、他のアフリカ大陸の沿岸諸国であるチュニジア、アルジェリアはオスマントルコ帝国に支配されていたため、トルコ料理の傾向が強くなっています。

健康的な食事法としても有名な「地中海の食事」。タパスやカプレーゼは日本人にも人気

健康的な食事法としても有名な「地中海の食事」。タパスやカプレーゼは日本人にも人気

 

地中海沿岸諸国の伝統的な食事は、オリーブオイル、全粒穀物、野菜、果物、豆、ナッツ、魚介類、チーズ、ワインをシンプルな調理法でいただくというのが主流。肉料理や卵料理が多くなく、健康的な食事法としても有名です。

 

地中海の食事では、多様な穀物が使われています。軟質小麦からはパン、硬質小麦(デュラムセモリナ粉)からはクスクスやパスタ、その他、米、スペルト小麦、大麦、トウモロコシ粉を使用したポレンタなど。また、気候に恵まれた土地ですので、野菜も豊富に採れます。野生のハーブやスパイスなどがたくさん使われ、レモンを絞ったりすることが多く、思うほど塩分を使用しません。

 

新鮮なサラダは、オリーブオイルとレモン、フレッシュハーブなどでシンプルにいただきます。スープも、豆や野菜、穀類、魚介類などにハーブやニンニクを効かせたものが多く、グリルしたり煮たりして何にでもオリーブオイルをかけるのが特徴です。

 

特に日本人に人気があるのは、スペインのタパスやイタリアのカプレーゼなどでしょうか。タパスにはさまざまな種類がありますが、イワシやタコ、イカなどの日本人が大好きな魚介類を使用したものに私も目がないので、スペインに行く際は必ずバルでイワシの酢漬け、エビやマッシュルームのアヒージョ、野菜のピンチョスなどを注文します。モッツァレラチーズとトマトを薄く切って交互に並べ、その間にバジルの葉っぱをはさんでオリーブオイルをたっぷりかけるカプレーゼも大好きです。

 

また、夏野菜のナス料理ではギリシャのムサカが有名ですが、キプロスなどの郷土料理であるババガヌーシュは、盛夏にナスが大量に手に入ったら必ず作る一品です。

 

ナスにフォークで数箇所に穴を開け、丸ごとオーブンでしっかり焼きます。あら熱を取って皮をむいてから、ブレンダーなどでナス、にんにく、タヒニ(練り白ごま)、レモン、塩、クミンを入れてペースト状にします。冷蔵庫で冷やし、食卓に出すときにオリーブオリルを上からたっぷりと。パンや野菜などなんにでも合い、食欲をそそる美味しい前菜です。

食文化を通して旅を楽しめば、語学習得のモチベーションにつながる

食文化を通して旅を楽しめば、語学習得のモチベーションにつながる

 

地中海沿岸の出張中は、日本食が恋しくなることもなく食べ過ぎてしまうのが困りものです(笑)。

 

食事を通してその国の文化や歴史、生活を垣間見ることができれば、よりいっそう旅が楽しいものになるでしょう。そこから語学の勉強のモチベーションにもつながるはずです。

 

筆者:岡本きよみ/PRディレクター

食、旅、ウェルネス、美容、カルチャーなどのPR・プロモーション活動、国内外における取材・プレスツアーのコーディネーションを手がけるとともに、企業や自治体向けのレシピ開発など、国内外の旬の食材、郷土食や伝統食など食文化をテーマに活動。日本旅行作家協会会員。

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