留学を考える若者たちへ。高校3年間をスイスで過ごして得たもの

2016.11.29旅行・留学
インタビュー

英語を習得するために最も有効な手段のひとつ。それは“留学”と言っても過言ではないでしょう。とはいえ、日本語が通じず、文化も習慣も異なる異国へひとりで渡り生活することは並大抵の苦労ではありません。

 

インターネットのマーケティング事業を主に手掛ける株式会社セプテーニで働く木本俊さんは、高校3年間をスイスへ留学していたといいます。留学へのきっかけから、留学中のさまざまな体験、留学したからこそ得られたかけがえのないものについて、赤裸々に語ってもらいました。

 

【Profile】
木本俊さん
1989年、大阪府出身。米国・サンフランシスコへ留学した父の後押しを受け、高校3年間を世界中から留学生が集まる街、スイスのヴォー州レザンにある高校のひとつ「Kumon Leysin Academy of Switzerland」へ留学。卒業後に帰国し、関西学院大学に進学。現在は株式会社セプテーニに就職。留学時に培った自立と自律の精神、抜群のコミュニケーション力と行動力を生かし、営業部のアカウントプランナーとして活躍している。

留学に備えて実践的な英会話をベースにリスニングとスピーキングを強化

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―― 留学といえば大学や社会人になってからの方が多いですが、高校からというのは早いですよね。中学生だった木本さんが留学を決めた理由を教えてください。また、不安はありませんでしたか?

 

父親が大学卒業後にサンフランシスコに留学した経験があって、息子である僕にも早くから留学させたかった、というのが一番大きな理由ですね。家族旅行でハワイなど海外へよく遊びに行っていたので、留学への不安もありませんでした。父親が海外でペラペラと英語を話す姿を見て、カッコ良いなと思っていました。もっとも僕自身は、大阪市内に住む普通の中学生レベルの英語力でしたけどね(笑)。

 

―― それは意外です。子どもの頃から英語が得意なのかと思っていました。受験は大丈夫でしたか?スイスの学校を選んだのも気になっています。

 

留学先は日系の学校だったので、試験を日本で受けることができましたし、問題文も日本語でした。試験科目は、数学と英語、それから小論文だったかな。日本で高校へ進学するよりも少し簡単だったかもしれません。ちなみにスイスを選んだのは、ヨーロッパの中心に位置する公用語が4つある国なので、色んな文化や言語を学べると思ったからです。

 

―― 留学にあたって、具体的にどんな英語の勉強をしましたか?その中で実際に役立ったのは、どんな勉強でしたか?

 

受験に受かって渡航するまでの半年弱ほど、日米英語学院に通いました。たまたま電車の広告を見て選んだのですが、目的に合わせてひとりひとりにカリキュラムを組んでくれるのが良かったですね。留学が目的だった僕の場合、実践的な英会話をベースに、リスニングとスピーキングを強化しました。文法は多少間違っていても通じますが、単語のイントネーションが違うと通じないんですよ。単語の微妙なニュアンスの違いと使い方など、机上では学べない基礎的なことが留学後に役立ちました。

 

他には、当時、同じマンションに住んでいた外国人の高校生に英会話のレッスンをしてもらったおかげで、外国の人相手にも物怖じせず話かけられるようになったと思います。

11個の部活を掛け持ち!多趣味になって“挑戦心”が育まれることに

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―― スイスの学校では毎日どんなふうに過ごしていましたか?1日のスケジュールを教えてください。

 

学校は全寮制の共学でした。3人部屋で、朝起きてカフェテリアでご飯を食べたら、月~金曜は学校へ通います。1コマ50分×7限の時間割りが組まれていて、日中は学校で勉強です。そのあたりは、日本の高校と同じですね。もちろん、授業はすべて英語です。15時半に授業が終わり、その後はサッカーやスキーなどのアクティビティの時間が週2回あって、ない日は自由時間。夕食後は高校生らしく、日~木曜はスタディホールで19時~21時まで自習です。その後1時間ほど自由時間で、大浴場の風呂に入ったり、レクリエーションルームで夜食を作ったりしました。金曜と土曜だけは夜の自習は休みなんですが、授業中に日本語を喋るなどペナルティがたまると勉強させられましたね。

 

―― スクールライフ自体は、日本の高校生活と似ていますね。ここが日本の学校と違うということはありませんでしたか?

 

大きく3つあります。1つ目は、イベントが盛りだくさんだったこと。イースターでチョコまみれになったり、ハーフマラソンに3回出場したり……。前夜に雪がたくさん降った快晴の日は、授業がなくなって1日スノボデイにもなりました。2つ目は、部活動ですね。日本ではたいていひとつの部活にしか入部しませんが、留学したスイスの学校ではいくつでも入れました。僕はサッカー、バスケ、剣道、軽音、コーラスなど11個の部活へ入部。いろいろな経験ができて多趣味になったし、「まずは挑戦」というマインドも育ちました。3つ目は、制服がなく、服装や髪型が自由だったこと。高校生デビューというか(笑)、ファッションコーディネイトが楽しかったですね。当時は長髪で染めていて、ピアスもしていました。

 

―― 日本の高校と比べると、自由度が高くて、楽しそうですね!逆に留学中に大変だったことや困ったことはありませんでしたか?

 

ホームシックならぬ“ジャパンシック”になりました。特に食べ物です。カフェで日本食が出るときもありましたが、何か違うんですよね。日本食のレストランへ行ったり、白米や日本のインスタントラーメンを買い込んで自炊をしたりしました。ほかには、メールやSNSを通して日本に住む幼馴染から情報が入ってくるせいか、日本の高校生活が羨ましくなることも。カラオケへ行きたかったですね(笑)。

 

あ、そうそう、困ったことといえば、海外の美容院は結構危険といわれているんですが、日本でも名の知られる有名店だからと安心してパーマを当てたら、説明したはずなのにすごいツイストに。しばらく学校で「バッハ」と呼ばれてしまいました(笑)。

 

―― 日本の大学に進学されましたが、受験は大変ではなかったですか?また、スイスの学校でできた友だちと卒業後も交友はありますか?

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「帰国子女枠」で受験しました。学校や学部によって異なると思いますが、センター試験は受けず、英語の小論文や面接などが主な試験内容でした。僕は日本の大学へ進学しましたが、同期の約3分の1がそうだったように、海外の大学に進学するのもおすすめです。将来、世界を舞台に働けるチャンスですから。

 

ただ、留学中できた友だちのうち、日本人は今でも仲が良い一方で、外国の人は継続的な関係を築けなかったので少し後悔しています。友だちの地元を案内してもらえたり、海外の仕事の話が聞けたりしたでしょうからね。

どこに行っても生きていける。留学のおかげで自信が付いた

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―― 留学先での3年間は、とても充実した学生生活を送っていたようですが、学校以外、例えば週末や長期休暇は、どんなふうに過ごしていたのですか?

 

フランスへは電車で2~3時間、スペインへは飛行機で1時間と、スイスから他国へは大阪から東京へ行くような感覚で気軽に行けたので、週末に10か国以上は訪れたでしょうか。ルーブル美術館のニケやソフィア王妃芸術センターのゲル二カ、バルセロナのサグラダファミリアをはじめ、今思うとすごい文化を実際に目のあたりにする機会に恵まれました。当時は若過ぎて芸術的観点はなかったのがもったいないほど。訪ねた場所は改めて行きたいと思っています。

 

また、長期休暇では、イギリスやカナダ、アメリカのサンフランシスコなどへホームステイも経験しました。留学をして自分が日本で学んだ英語はアメリカ英語だとわかり、他の地域の英語に触れたくなったからです。

 

―― 留学したことで、より世界が広がった感じですね。留学経験を経て、自身の中で変わったこと、成長したなと感じることがあれば、教えてください。

 

寮生活では自分のことは自分で管理しないといけなかったので、自立や自律の精神が染みつきましたね。料理や掃除などの家事も好きで、結婚した今も自分からよくしています。

 

それから、自分で物事を判断して決定し、積極的に動く人が多かったので、アグレッシブな行動力も習得できたと思います。留学のおかげで、どこに行っても生きていける自信があります(笑)。また、親元を離れたことで、親のありがたみを知り親孝行したいと思うようになりました。父親からは「優しくなった」と言われています。

 

―― 留学は英語以外にも、得るものがたくさんあるんですね!では最後に、これから留学を考えている若者や、木本さんのお父さんのように子どもを留学させたい親に、アドバイスをお願いします。

 

日本では英語を話す機会があまりないので、留学は英語を習得するための絶好のチャンスだと思います。そして、留学するなら、経験や出会いの数が多い長期留学がおすすめです。

 

また、年齢は若いほど良いでしょう。好奇心が強く、変な固定観念もない。それに、怖いもの知らずですから(笑)。失敗しても周りから温かく見られますしね。今の僕なら絶対に縮こまっちゃうだろうけど、高校生だったから、壁を作らず外国の人に話しかけられたと思います。

 

特に、英語は世界共通言語です。英語が母国語でない国でも、英語とジェスチャーで4~5割ぐらいの意思疎通ができるので、自分の子どもにも身につけさせたいですね。父親のように、早くから子どもに留学経験をさせたいと思っています。

インタビューを終えて

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木本さんの話を聞くと、留学は英語の上達はもちろんのこと、日本ではなかなかできない経験や出会いに満ち、自分の世界を広げるチャンスだと感じました。海外でさまざまな文化や人々に揉まれながらたくましく生き抜くことで、自立した精神、高いコミュニケーション力、積極的な行動力といった、現代日本の若者が弱点とされる貴重な力も得られるようです。

 

何より、目を輝かせながらおもしろい体験談を次々に語ってくれた木本さんの姿に、留学は楽しいものに違いないと、心から思わずにいられませんでした。木本さん、どうもありがとうございました。

 

Interviewer&Writer:児島奈美/トラベルライター
旅行雑誌やWEB等で、国内外問わず現地へ足を運び取材・撮影を行う。得意分野は、旅のルポ、グルメ取材、人物インタビューで、渡航した海外はプライベートを含め約40か国。雑誌立ち上げのために約3か月、ベトナムに滞在したほか、プライベートで欧州周遊(約3か月)、米国横断(約1か月)、東南アジア周遊(約3週間)、米国滞在(約1年)の経験も持つ。実践の場で英語を使うことが多く、「英語はツール」をモットーに、わかりやすく使える英語を心掛けている。

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