2024年から英検®の問題形式が変わる! 変更点や対策について解説
2024年度から英検の問題が変わります。英検S-CBTでは5月実施分よりリニューアル問題が開始されます。対象級は1級・準1級・2級・準2級・3級です。ライティングが大きな変更点と言われていますが、どのように変わるのでしょうか。また、他の3技能についてはどうなるのでしょうか。今回は2024年度の英検リニューアルについて解説します。
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2024年度の英検から変わる主なポイント3つ
2024年度第1回検定(一次試験・6/2開催)から英検の問題が変わります。英検S-CBTでは少し早く、5月実施分よりリニューアル問題での受験となります。今回のリニューアルでは大きな変更点として、ライティングが2題になること、リーディングの設問の削減、試験時間の延長、スピーキングの変更などがあります。それぞれの変更点や対象級について、詳しく解説していきます。
1.ライティングに「要約」「Eメール文」が追加
1つ目のポイントで、最も大きく変更されるのはライティングです。1級・準1級・2級では要約問題が、準2級・3級ではEメール問題が追加されます。それぞれの内容について見ていきましょう。
要約問題:対象級…1級/準1級/2級
長文を読み、その文章を要約する問題が1級・準1級・2級を対象に追加されます。各級共に内容・構成・語彙・文法の4つの観点で採点されます。観点ごとに段階的に採点されます。点数配分は各級によって異なりますので、この後の級別の解説でご確認ください。
Eメール問題:対象級…準2級/3級
準2級・3級ではEメール問題が新たに追加されます。知り合いや友人などから送られてきたEメールに返信をする問題になります。各級共に内容・語彙・文法の3つの観点で採点されます。観点ごとに段階的に採点されます。点数配分は各級によって異なりますので、この後の級別の解説でご確認ください。
2.リーディングの語彙問題・長文の設問数を一部削減
2つ目のポイントはリーディングです。1級は6問・準1級は10問・2級は7問・準2級は8問がそれぞれ削除されます。各級ともに大問1の語句空所補充問題、大問3の長文の問題から数問ずつ削除されます。選択問題が減ってライティング問題が増える形になりますので、これまで文法や単語について問われてきた選択問題などが削除されることになります。文法や単語の実力が選択形式から記述形式で問われることになります。知識を持ったうえで、きちんと使える能力が問われるということです。
3.試験時間が変更
3つ目のポイントは試験時間が変更されることです。対象級は準2級・3級で、それぞれ延長されます。準2級ではリーディングの問題削除とライティングの問題追加で合わせて5分の延長、3級ではライティングの問題追加により15分の延長となっています。
級ごとの詳細な変更点
それではここから、各級ごとにさらに詳しく解説をしていきます。
級 | 一次試験 | 二次試験 | |||
---|---|---|---|---|---|
筆記試験 | Listening | Speaking | |||
Reading | Writing | 試験時間 | |||
1級 | 語彙問題・長文問題の設問数を一部削減 (試験時間調整のため) |
英作文問題の出題を1題から2題に増加 既存の「意見論述」の問題に加え、「要約」問題を出題 |
変更なし(100分) | 変更なし | 変更なし |
準1級 | 変更なし(90分) | 変更なし | 受験者自身の意見を問う質問(No.4)に 話題導入文を追加 |
||
2級 | 変更なし(85分) | 変更なし | 変更なし | ||
準2級 | 英作文問題の出題を1題から2題に増加 既存の「意見論述」の問題に加え、「Eメール」問題を出題 |
時間延長(75→80分) | 変更なし | 変更なし | |
3級 | 変更なし | 時間延長(50分→65分) | 変更なし | 変更なし |
■3級の変更点
3級では次の2点が変更になります。
・ライティング:英作文の問題が1題から2題に増加。既存の「意見論述」に加え、「Eメール」問題を出題
英検の公式サイトで閲覧できる出題例によると、友人から届いたEメールに対して返信メールを書く、という問題になっています。英文の語数の目安は15語~25語と指定されており、下線部に対応する内容を答える形式となっています。
また、解答は内容・語彙・文法の3つの観点から採点され、観点ごとに0~3点で評価され、満点は9点となっています。
内容の観点では、相手が聞いていること(問題の主旨)に答えられているかが問われます。的外れな回答にならないよう、何を聞かれているのかをしっかりと把握し、答えていくようにしましょう。語彙の観点では、あまりにも簡単な語彙で書かれていないかが問われます。中学校の教科書レベルの単語をしっかりと押さえておきましょう。文法の観点では、通じる文法で書かれているか、SVCなどの順番が合っているかなどが問われます。意味が正しく伝わる英文を書けているかを確認しましょう。
新しく追加されるEメールの問題は、従来よりある意見論述の問題よりも先に出題されます。慣れない形式で時間を取られてしまうことのないように、事前に時間配分の確認を行いましょう。
・試験時間:一次試験が50分から65分に延長
3級ではライティングの増加以外に変更がないので、一次試験時間は15分追加の65分となっています。これまでの試験時間よりも長くなりますので、しっかりと時間いっぱい集中できるようにトレーニングを重ねましょう。
■準2級の変更点
準2級では次の3点が変更になります。
・リーディング:大問1の「短文の語句空所補充(熟語・文法)」問題が5問削除、大問3の「長文の語句空所補充」問題が3問削除
これまでリーディングは全37問でしたが、ライティング問題を増やすことにより文法能力をライティングで問うことができるようになったため、上記の文法を問うリーディング問題が削除されることとなりました。これによりリーディングは全29問となります。
・ライティング:英作文の問題を1題から2題に増加。既存の「意見論述」に加え、「Eメール」問題を出題
英検の公式サイトで閲覧できる出題例によると、知人から届いたEメールに対して返信メールを書く、という問題になっています。英文の語数の目安は40語~50語と指定されています。受け取ったメールに対して具体的な質問をする、下線部の特徴を問う具体的な質問をするなど、文中で答えねばならないタスクが書かれています。何に答えるべきか指示をしっかりと読み、何を記述するべきかを把握しましょう。「2つの具体的な質問をしなさい」などと書かれている場合は、2つの質問が似通ったものにならないように注意しましょう。1つの質問しかしていないと判断されて減点になってしまうことがあります。
解答は内容・語彙・文法の3つの観点から採点され、観点ごとに0~4点で評価され、満点は12点となっています。簡単な語彙ばかりで構成されていないかを確認しましょう。
新設されるEメール問題は、既存の意見論述問題よりも先に出題されます。あまりに時間をかけてしまい意見論述問題を解く時間が少なくなってしまった、とならないように、問題を繰り返し解いてペースを把握しましょう。
・試験時間:一次試験が75分から80分に延長
リーディングの問題削減とライティングの増加に伴い、合計時間では5分延長になります。リーティングの問題削減に伴い、リーディングに充てていた時間をどれだけ削減できるかで、ライティングに振り分けられる時間が異なります。また5分とはいえ時間が延長されますので、長時間集中力が維持できるように日頃から訓練しておきましょう。
■2級の変更点
2級では次の2点が変更になります。
・リーディング:大問1の「短文の語句空所補充(文法など)」問題が3問削除、大問3Bの「長文の内容一致選択」問題が4問削除
これまで全38問だった問題数が31問に削減されます。これは、ライティング問題が増加されることにより文法能力をライティングで問うことができるようになるため、リーディングで問われていた文法問題が削減されることになりました。
・ライティング:英作文の問題を1題から2題に増加。既存の「意見論述」に加え、「要約」問題を出題
英検の公式サイトで閲覧できる出題例によると、準備されている英文を読んで、その内容を英語で要約する問題が追加されます。英文の語数の目安は45語~55語と指定されています。また、要約問題は意見論述問題よりも先に出題されます。
また、解答は内容・構成・語彙・文法の4つの観点から採点されます。観点ごとに0~4点で評価され、満点は16点となっています。内容では、問題文に対する自分の意見を書いてしまったり、本文をそのまま写したような形になってしまったりしていないかに注意しましょう。構成では、パラグラフごとの重要なポイントを盛り込んでいるか、「however」や「Due to」などの論理マーカーをうまく使って表現がされているか、具体的表現を抽象的表現に言い換え(=パラフレーズ)できているか、などが問われます。語彙ではあまりに簡単な単語表現ばかりになっていないかに注意しましょう。文法では、意味が違ったり通じなくなったりしていないかに注意しましょう。
この中でも要約問題では特に構成の部分で問われる「パラフレーズ」が大切になってきます。例えば、「Orange, Strawberry, Banana」と書かれていれば「(Various)Fruits」と言い換えられるように、具体的表現から総称的・抽象的表現に言い換える力を身に着けましょう。
■準1級の変更点
準1級では次の3点が変更になります。
・リーディング:大問1の「短文の語句空所補充(単語)」問題が7問削除、大問3の「長文の内容一致選択」問題が3問削除
これまで全41問だった問題数が31問に削減されます。これは、ライティング問題が増加されることにより文法能力をライティングで問うことができるようになるため、リーディングで問われていた文法問題が削減されることになりました。
・ライティング:英作文の問題を1題から2題に増加。既存の「意見論述」に加え、「要約」問題を出題
英検の公式サイトで閲覧できる出題例によると、準備されている英文を読んで、その内容を英語で要約する問題が追加されます。英文の語数の目安は60語~70語と指定されています。また、要約問題は意見論述問題よりも先に出題されます。
解答は内容・構成・語彙・文法の4つの観点から採点されます。観点ごとに0~4点で評価され、満点は16点となっています。内容では、本文をそのまま写したような形になっていないか、具体的なものが抽象的表現になっているかが問われます。構成では、パラグラフの論理通りになっているかなどが問われます。論理マーカーがきちんと捉えられているかが大切になってきます。語彙ではあまりに簡単な単語ばかりを使用していないかに注意しましょう。パラフレーズで問われる抽象的な表現力も大切です。例えば、頻度を示す単語が文中で表現されている頻度と同程度か、などに気を配ることが大切です。文法では、かなり正確な文法を使っているかが問われるようになります。語順が変わることで肯定と否定が入れ替わったりしていないかなどに注意しましょう。
書き上げたら最後に完結性を確認しましょう。原文を読んでいなくても要約文を読めば主張したいことが伝わっていることが大切です。
準1級では今回のリニューアルに伴いリーディングの問題数が最も多く削減されており、かつ試験時間の変更はありませんので、ライティングにかける時間が他の級に比べて取りやすいと言えます。しかし、これは試験が簡単になったわけではありません。これまでリーディングで問われていた語彙や文法と言った項目をライティングで表現していく必要があるので、速読の力などはこれまで以上に必要になってきます。何度も問題を繰り返し解いて、ライティング力を身に着けましょう。
・スピーキング:受験者自身の意見を問う質問(No.4)に話題導入文を追加
これまで唐突に始まっていた社会的話題の質問文の前に、前提となる知識や背景である会話導入文が加えられるようになります。問題が簡単になるわけではないのですが、これまでよりも解答しやすくなります。
■1級の変更点
1級では下記2点が変更となります。
・リーディング:大問1の「短文の語句空所補充(単語)」問題が3問削除、大問3の「長文の内容一致選択」問題が3問削除
これまで全41問だった問題数が35問に削減されます。ライティング問題が増加されることにより文法能力をライティングで問うことができるようになるため、リーディングで問われていた文法問題が削減されることになりました。
・ライティング:英作文の問題を1題から2題に増加。既存の「意見論述」に加え、「要約」問題を出題
英検の公式サイトで閲覧できる出題例によると、準備されている英文を読んで、その内容を英語で要約する問題が追加されます。英文の語数の目安は90語~110語と指定されています。また、要約問題は意見論述問題よりも先に出題されます。
解答は内容・構成・語彙・文法の4つの観点から採点されます。観点ごとに0~8点で評価され、満点は32点となっています。内容では、問題文で使用されている文章がそのまま使い回されていないか、パラフレーズを適切に行えているかなどが問われます。構成では、ロジカルになっているか、論理マーカーを適切に使用してるかなどに注意しましょう。語彙ではアカデミックな単語やコロケーションをどれだけ覚えているかが重要になります。文法では、ミスコミュニケーションが起こらないような文章であるかが問われるようになります。
例文では作者の主張が取りにくい文章になっていますので、しっかりと論理的に読んでいく力が必要になります。最後まで読むと主張が分かるようになっていますので、具体的な地名や数値に惑わされずに読み解く力が必要です。書きあがったら必ず完結性の確認を行いましょう。問題文を読んでいない状態でも要約文だけで正しく主旨を理解できるか、主旨が入れ替わっていないか、論理的に整理されているか、などを確認しましょう。
なぜ変更になった?
英検のHPには「現行の学習指導要領では複数の技能(領域)を統合した言語活動の充実を図ることが目指されているので、新たな英語能力観を反映した出題形式を取り入れた新問題を実施」とあります。今回多くの級で追加されたEメール問題や要約問題では、ただ書くだけでなく、問題文をしっかりと読んで主旨を理解するリーディングの能力も必要になります。
「また知識や技能の習得だけでなく、コミュニケーションを行う目的や場面、状況等に応じた言語の運用を考える…」ともありますので、単語や文法の選択問題を中心に問題が削除され、Eメールなどの現在の生活に即した場面で英語を利用するための問題が増えたと考えられます。
対策法は?
■英検®が出している例題をチェックする
今回のリニューアルで新たに追加されるライティング・スピーキングに関しては、こちらのページで出題例・解答例・評価観点と解答用紙を確認することができます。この出題例や解答例に関しては、変更点と問題の解説・勉強法の動画も同じページの中で確認することができますので合わせて見ておきましょう。
■過去問を活用する
そのほかに英検の公式ページでは過去問が配布されています。新形式には対応していない過去問もありますが、長文問題を要約したり、Eメール形式の出題問題を応用して活用したりして、新形式のイメージトレーニングを行いましょう。
ただし、独学の場合、答え合わせや採点は難しいです。特に今回多くの級でリニューアルされるライティングは、特に独学が難しい部分となっています。一人では難しそう、もっと対策を行いたい、という場合は、専門の塾やスクールに通うこともおすすめです。
まとめ
いかがでしたか。今回は、2024年度より実施される英検の問題形式リニューアルについて解説いたしました。これまでの問題形式にくらべ、より高い思考力・判断力・表現力が求められるようになります。特にリニューアル直後である2024年度内の受験に関しては、過去問や対策などの情報が少なく、自分ひとりの力ですべてを対策するのは難しいのではないでしょうか。同年度内に受験予定の方は、専門の塾やスクールで情報を得ることをお勧めします。
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